§52 小ネタ集part4
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《失われた物、戻ってくる物》
「あ゛ーっ!!」
「うぎゃっ!!」
突如黎斗の叫びが響きわたる。至近距離で被害を受けた恵那がジト目で見てくるが、ジト目も可愛いな、などと雑念を発揮している余裕は無い。
「どうしよう!? 腕吹き飛んじゃったよ!!」
「腕?」
「何言ってんですか。腕ならちゃんとついてますよ。吹き飛んじゃったのは今朝やってらしたゲームの敵キャラでは?」
恵那とエルは「とうとう二次元と三次元を混同し始めたか」と言わんばかりの呆れを表情に滲ませる。
「違う違う!! よーかの腕!!」
「「え?」」
陸鷹化の腕は、黎斗が切断していた筈だ。
「彼の腕はマスターが切っちゃったじゃないですか。それを冷蔵庫に……!?」
ここで二人も思い出す。彼の腕は冷蔵庫に保管することになった。何処の冷蔵庫に? それは黎斗のアパートだ。もはや原型を残していない、猪と仁王の殴り合いで廃墟と化した(と黎斗は推測していり)更地だ。
「「「……」」」
痛いほどの沈黙が、場を支配する。
「返してあげようと思ったのに……」
「お義兄様に教えを直接授けて頂いて、まこと我が弟子は果報者です」
「いや、そーゆー問題じゃ……」
どこかズレた返答の羅濠教主にツッコミたくてしょうがない。
「倉庫に突っ込んでおくべきでしたね……」
全くだ。アンドレアに預けたあの乗客のように、倉庫に放り込んでおけばよかった。後悔しかない。
「お詫びどーすんべ……」
「お義兄様に教えを受けた我が弟子が感謝こそすれ、お義兄様が謝る筋などどこにもありません」
「え、えぇえ……」
天上天下唯一黎斗独尊、とでもいうのだろうかこの態度は。ヤバいこの子どうしよう。黎斗の脳裏に浮かぶのはこんな変人師匠を持った陸鷹化への哀悼の念であった。
《偽りの黄金T》
「まてー!!」
「待てっわれて待つ馬鹿がいるわきゃねーだろドアホ!!」
金の髪を翻し、一人の男が路地裏を走る。後ろには、いきり立った大勢の男たち。
「っと、マズいか?」
彼の前に立ちふさがるは、馬鹿みたいに大きな壁。行き止まりに来てしまったらしい。
「とうとう追い詰めたぞ!!」
「……ハメられたなこりゃ」
ヤツらはどうやら、行き止まりに誘導させるように追い立てていたらしい。まったく――花嫁泥棒一人に対し、ご苦労な事だ。
「……別に手をつけないで返すんだからいいじゃんかなぁ」
全く、連中にはユーモアの心が無いらしい。そんなんだから郊外のミステリーサークルもただの「獣の通った後」扱いされるのだ。あれを一夜で作るのにこちらがどれだけ苦労したことか。せめ
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