暁 〜小説投稿サイト〜
生還者†無双
呉の姫
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まさに地獄絵図だった
血の河と死体、肉片、不自然に折れた木々や抉られた地面
もはや人間業ではない……化け物と戦したのではないか
その場にいた全員がそう思った
「こ……これ全部一人でやったのか?」
「すげぇ、ざっと見ただけで百人はいるぞ……」
兵士達が口々に呟く
辺りを手分けをして暁を捜索していると蓮華の目に見覚えのある巨木があった
もしかしたら……馬から降りて駆け寄ると
黒い鎧を纏った暁が火が出る筒を抱えて木に寄りかかっていた
「暁!大丈夫?!生きてる?!」
肩を掴んで凄い勢いでゆらしている孫権、少し遅れて甘寧もやってきた
「漆黒の鎧……まさか……!」
先程とは違う暁の身なりを見て驚いた
深緑色の服ではなく黒い鎧の様な物を着ている
黒い鎧、火の出る筒、大地をも抉る玉……
まさか……コイツがあの噂の天の御使いだと言うのか……!
甘寧は一人鋭い目で暁を睨んでいたのであった

頭が痛い……なんかガタガタ揺れて気持ち悪りぃ……
「誰だ……チキショウ……あ?蓮華か?何で此処に?」
「約束を果たしにきたわ暁、もう終わったみたいだけど……」
「次はなるべく早めに来てくれ……」
「受けた恩は必ず返すわ、孫家のな……きゃ!」
「若いのに堅いんだよ蓮華は、もっと気楽になれよ」
立ち上がった暁に頭をまた撫でられた
嬉し恥ずかしさから顔が真っ赤になっていく
自分でも良く分からない……感情が湧いてくる
「あ……ありがと……」
ようやく出た言葉は消えそう程小さな声一言だけ
だがしっかりと暁には伝わっていた
「そんじゃあ……帰ろうぜ?気張ったら猛烈に疲れた」
ふっとはにかみながら二人は笑い歩き出した
ようやく山から脱出できる
ボーみたいな事はもう懲り懲りだぜ
暁と呉の姫はこうして出会ったのだった……


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