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押せば押せ 引かば押せ押せ 近場押せ
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寿司を三貫いっぺんに口に入れる田辺。
箕島「それなら相手も見つけれませんよ」
   寿司をのどにつまらせる田辺。
   自分のお茶を差し出す馨。
   爆笑する虎雅。
   お茶で流しこむ田辺。
田辺「うにだから大丈夫と思ったのに。のりがひっかかるんだよな」
高藤「感じるんだろ」
   と馨の耳元で呟く。
   感情を押し殺す馨。

○ 中洲界隈(夜)
   数軒の飲食店に聞き込みをする雄心の
   様子。
   橋の欄干によっかかりながら休憩する
   雄心。
   スマートフォンに着信。
   画面には〈圭三君〉の文字。
荒吹雪の声「お疲れちゃん」
雄心「ほんとに疲れた。そっちもマスコミがゴミのようにいるから疲れてるんじゃな
い」
荒吹雪の声「ドクターX録画したやつ見て気を紛らしてるわ。で、そっちはどう?」
雄心「全然駄目です。やはり爪が短いから飲食店というの無理があるよ」
荒吹雪の声「それだけじゃない小麦の香りもしたんだよ」
雄心「じゃあラーメン屋、イタリアン、うどん屋あたり重点的にやりますわ」
荒吹雪の声「お願いします」
雄心「久しぶりに敬語使ったね」

○ 新宿区中井・コーポイカナ206号室・ 内(夕)
   ソファーに寝転び相撲中継を見る荒吹雪の様子。
   荒吹雪の髪型はポニーテール。
荒吹雪のM「年が開け一月場所も七日目だ。八時半の前相撲から六時の打ち出しまでネット、テレビで相撲を見る。それが俺にとっては精神安定剤になってる」
   インターフォンが鳴る。
荒吹雪「またばれたかもう三回も引っ越したのに」
   とインターフォンに駆け寄る荒吹雪。
荒吹雪「はい」
インターフォンの声「僕です。僕々」
荒吹雪「僕々詐欺ですか?」
インターフォンの声「違うわ」
荒吹雪「そういうのいいから若先生。早く来てよ」
インターフォンの声「圭三君がボケたんでしょ?」
荒吹雪「そうだっけ」

○ 同・玄関(夕)
   ドアを開ける荒吹雪。
   雄心の後ろに長里麻衣が立つ。
雄心「勝手に引っ越す。電話出ない。メールレスポンスない。どういうこと」
荒吹雪「もう示談成立したからいいかなと思って」
雄心「まだ闘おうって約束したじゃん。それにね前のアパートで圭三君待っていたら
警察に連れて行かれたよ」
荒吹雪「それ不法侵入じゃん。合鍵勝手に作るとまあそういうことになるよ。普通は気づくけどね」
雄心「部屋のレイアウトが随分変わったのは気づいたよ。でも女を作ったんだなとしか思わなかった。圭三君を信じてたから」
荒吹雪「気持ち悪いな。信じるってなんだ。心を盲目にすることか」
雄心「そんな怒んなくても」
荒吹雪「でも、そのお気持ちはありがとう。あいしてるよ」
   赤面す
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