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ざわめき。
記者B「早すぎだろ」
記者C「どんだけ嫌われてんだよ」
   理事たちが顔を見合わせる。
   マイクが双喜山に移動する。
双喜山「以上で会見を終了いたします」
   洸海らが立ち、一礼して退場する。
   ドアが閉まる。
    
○ 同・記者席
記者A「まるで力道山だな」
記者B「プロレス転向か」
記者C「いや、あいつならUFCのヘビーのベルト巻けるよ」 

○ 深紅山部屋九州場所宿舎・内
   荒吹雪が大の字に寝転び、目を瞑る。
   座敷の隅で雄心がスマートフォンに耳をあてる。
   発信画面に〈父・有馬幸三〉(60)の文字が映る。
雄心「お疲れ様です」
有馬の声「お疲れ様です。じゃねえよ。お前、関取をお疲れ様でしたにしやがっな」
   と語気を強くして喋る。
雄心「すいません。スピードについていけなかったです。でも、もう大丈夫です」
有馬の声「何がどう大丈夫なんだよ」
雄心「強姦されそうになった女の子探し出します。あちらはまだ見つけていないよう
  なので」
有馬の声「絶対探せよ。死ぬ気で探せよ。それで今関取は?」
雄心「死んでる」
   荒吹雪が大の字に寝転び、目を瞑る。

○ 箕島邸・内(夕)
   ソファーに腰掛ける箕島、虎雅、田辺
   高藤、馨。     
   寿司をほおばる田辺。
   それを見つめる四人。
   赤貝をのどに詰まらせる田辺。
箕島「ママ、お茶」
   田辺の手元にある湯飲みを田辺の口元に運ぶ馨。
田辺「ごっつあんし」
   と湯飲みを持ってお茶を口に流し込む。
田辺「貝はやっぱ噛まないとだめっすね」
   馨の尻に手を伸ばす高藤。
虎雅「YES」
   と笑みを浮かべる。
   湯飲みをテーブルに置く田辺。
高藤「田辺関。ちょっといいか」
   高藤が馨の尻を揉む。
田辺「関は十両以上の力士なので」
虎雅「へぇー。パパ知ってた?」
   目が泳ぐ箕島。
箕島「常識だろ。そんなのは」
   鼻で笑う馨。
高藤「田辺君。当分はここにいてもらう」
田辺「はい」
   箕島がソファーの脇に置いたハンドバックから封筒を取り出す。
高藤「箕島さん。お願いします」
   と箕島に目を向ける。
箕島「はいこれ」
   と封筒を田辺に差し出す。
田辺「ごっつあんです。おお、立ってる」
   虎雅が爆笑する。
   他の三人はあきれた表情。
箕島「田辺君。とりあえず一本入れといたから」
田辺「はい。これ自分の一年分なんでなんか
  緊張しますわ」
箕島「そうかい」
   高藤は箕島に目を向ける。
高藤「箕島さん。まだ女の子が見つかりません。どうやらふろの女の子じゃないらし
いです」
   
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