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押せば押せ 引かば押せ押せ 近場押せ
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互いの顔を見合わせる裁判官達。
   落胆する様子の被告サイド。
   テーブルの下で握手する有馬と荒吹雪。
   すっきりとした表情の田辺。
荒吹雪のM「このあと、裁判長は静粛を促すも傍聴席のざわめきをしばらくはとめられ
なかった。そして、協会側が証拠提出していた診断書は無効。裁判が打ち切れ和解協議へと移行することになった」

○ 北品川 メゾンみほ3号室・内(夜)
   ロフトのベットに入り抱き合う荒吹雪と麻衣。
荒吹雪「攻めと守りのセミダブルいかせるわれら相撲道」
   日本相撲協会錬成歌の替え歌を口ずさむ荒吹雪。 
麻衣「ここセミダブルじゃないしね。それにもう戻れるんだからそんなの唄っちゃだ
め」
荒吹雪「腐った団体の替え歌ぐらい唄わせろよ」
   インターフォンが鳴る。

○ 同・外
   SE・セミの鳴き声。
   外で待つ田辺。
   ドアが開く。
荒吹雪「あっ裏切り者だ」
田辺「どうも、裏切り者です。殴る?」
荒吹雪「田辺さん。殴ってもいたくないでしょデブだから」
田辺「そうだね」
   笑みを浮かべる荒吹雪。
   それを見て笑みを浮かべる田辺。
荒吹雪「今日のレコーダー田辺さんでしょ?」
田辺「俺っていうより箕島の奥さん。馨姫が開廷ギリギリにバイク便経由で渡したんだ」
荒吹雪「姫。姫っておばさんでしょ。いつからロリータ卒業した。時間の経過ってこええなあ」
田辺「まあそれはおいといて、これ返すよ」
   と半ズボンポケットから封筒を出す。
荒吹雪「何それ慰謝料?」
田辺「母さんが倒れた時借りたやつ」
荒吹雪「あげるって言ったじゃん。田辺ママに」
田辺「そうなんだんけど。俺力士辞めるからけじめとして返すわ」  
荒吹雪「だからそれはママの金なの。しまって」
   ポケットに封筒をゆっくり戻す田辺。
荒吹雪「それから、辞めんな。俺の空気清浄機になってよ。相撲場はいろんな意味で
きたねえからさ」
田辺「関取と協会裏切っといて力士続ける義理はないよ。それに川崎くんだりで姫と
元レイプ魔の息子とでスナックやるんだ」
荒吹雪「まじかよ。骨の髄まで熟専になっちまったのか。ロリータ同盟まで裏切るのかよ」
   麻衣が部屋から玄関口に来る。
麻衣「そこつこっむなよ」
田辺「あの時のロリータ。関取、抜け目ないね」
  と麻衣を指差す。 
   麻衣を見る荒吹雪。
   田辺を睨む麻衣。

○ 国技館・地下大広間
   理事長選挙。
   候補者演説の様子。
   投票権のある全年寄と力士代表、立行司が席についている。
荒吹雪のM「協会との和解が成立した。和解は俺の行き過ぎた指導も加味した上で東
十両筆頭での復帰。それと解雇は行き過ぎたものとして100
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