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押せば押せ 引かば押せ押せ 近場押せ
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の因縁やら怨念が渦巻いているので」
   数回深く頷く有馬。

○ 東京地方裁判所・法廷
   裁判長席に女性裁判長。
   脇に男性裁判官二人。
   傍聴席は満席。
   荒吹雪サイド有馬・雄心・荒吹雪
   日本相撲協会サイド弁護士A(50)・弁護士B(45)・理事A・箕島
   すこし落ち着きのない様子の裁判長。
   書類手続きの様子。
   裁判長からの説明。
荒吹雪のM「一回目はあなたたちは法廷で争うことになりますよという意思確認と次回の争点。争点は解雇はふさわしいものだったか、付き人田辺が荒吹雪に受けた行為は暴行か指導の範囲内か、付き人田辺のうつ症状発症の因果関係だ。それから、驚くことに箕島は協会側の弁護士として出席した。40歳で議員になる前は凄腕法廷弁護士として活躍。九州には龍のような恐ろしい弁護士がいると噂になった程である。協会側は当初、箕島自身からの打診を裁判に不利になるとして断った。しかし、洸海の鶴の一声で起用となった」

○ 有馬法律事務所
   打ち合わせをする有馬・雄心・荒吹雪。
荒吹雪のM「第二回、三回とやりとりは平行線をたどった」
雄心「ちょっと。聞いてんのかい」
荒吹雪「聞いてる。聞いてる」
有馬「次、原告尋問なんだからしっかりね。いつもみたいに俺自身が法律だからとか言
ったらアウトよ」
   と荒吹雪に顔を近づける。

○ 東京地方裁判所・法廷
   箕島から尋問を受ける荒吹雪。
箕島「原告、あなたは相撲の稽古以外で田辺太氏以下田辺氏に手をあげたことがあり
ますか?」
荒吹雪「田辺うじは」
雄心「バカふざけるな」
   と雄心が荒吹雪に向けて原告席から小さな声で言う。
   荒吹雪は雄心に軽く会釈する。
   荒吹雪は視線を正面に戻す。
荒吹雪「田辺氏に暴力をふるったことはございません」
箕島「では田辺氏は嘘をついていて証拠で提出してるあなたに殴られたとしてできた
あざの携帯画像はあなたが殴ったものではないと言うのですね」
荒吹雪「私は田辺氏が掃除をさぼりゲームセンターに行ったことを注意し竹箒で彼の
太ももを叩いたことがあります。たぶんその時の画像なんだと思います」
箕島「叩いたこと、あざを作ったことを認めるんですね。相撲部屋というのは十両以上の力士の地位というのは幕下以下の力士とは雲泥の差、言葉は悪くなりますが奴隷と雇い主の関係に似ています」
   女性裁判長が首をかしげる。
裁判長「そうなのですか原告?」
荒吹雪「そこまでではありませんが指導をする立場なので平等とはいきませんね」
裁判長「そうですか。弁護人続けて」
箕島「平等ではない」
   と傍聴席を見渡し、視線を荒吹雪に戻した。
箕島「平等ではないもの、嫌とは言えない弱い
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