第十三話 〜彼女たちのお話 -ティアナ・ランスターの章-【暁 Ver】
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死者へ転嫁したというわけだ。死人に口無しとはよく言ったものである。全てを台無しにされたこの男の気持ちは、わからないでもない。だが、あまりにも理屈が子供じみている。
ティアナはタカムラに関する考察を打ち切ると、思考を切り替えた。先ずは知ることなのだから。ティアナは八神はやてへ、事情を説明する。タカムラの言った通りならば、事件の概要程度は調べられるはずだ。それが不可能であったとしても、必ずある筈だ──── 暴走した魔導師の在職記録が。はやてに快諾されたティアナはスバルとアスナを伴って部隊長室を足早に退出していった。
これは完全に蛇足ではあるが。ティアナ達が退出した後、タカムラが絶句してしまうようなある事実が、はやての口から告げられることになる。
「あんなぁ、タカムラ君。おたくらで扱った事件を他でぺらぺら話したらあかんで。個人名まで出してからに……守秘義務違反な。タカムラ君の上司に報告しておくわ」
内部調査室はその特性上、内部規定が非常に厳しい。プライベートさえも著しく制限される。それは彼ら自身が染まるのを防ぐ為である。自分が関わった任務の概要や個人を特定出来る情報を、違う部署の人間に明かすなど言語道断だ。それを知っていて、敢えて止めなかった彼女達も人が悪いが、同情の余地はない。非常に哀れではあるが、エイジ・タカムラは一週間の謹慎処分と相成った。
ティアナ達は事件を調べるものの極秘事項となっている為か、該当するデータを発見することは出来なかった。だが、件の管理局員のデータは残されていた。残されていたのは、名前や住所などといったパーソナルデータと彼が殉職した日付だけの寂しいものであった。
データにあった住所をコピーすると、隊舎を飛び出した。両親は既に他界しており、妹と二人暮らしであったことが判明したからだ。ティアナは、そんなところまで似なくて良いのにと、半ば呆れながらも目的地へと急行した。
住所を頼りに辿り着いたのは、古びた小さなマンションだった。彼女達を驚かせたのは、目的である部屋の玄関や壁に彼を中傷する落書きがされていた。事件自体のデータは秘匿されているが、人の口に門は立てられないと言うことなのだろう。或いは、タカムラのように外で不用意にも話してしまった人間が、他にもいたのかも知れない。
ティアナ達の呼びかけに恐る恐る玄関から顔を出した少女──── アナ・アスキスは公園で会ったアスナを見つけて大いに驚いた。そして彼女達が管理局である事と、場合によっては保護する用意もしてある事を伝えると、人目を憚らずに泣き始めた。無理もない。今まで誰も少女に手を差し伸べなかったのだから。
泣き止んだ少女から事情を聞けば、やはり保護する必要性が出てきた。だが
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