第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ジャシン
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のない声で静かに呟いた。
「〈誰か〉は、男を見つける。〈伝説の三忍〉の男だ」
彼は身を翻して、続けた。
「〈誰か〉は、男についてこい、と言う。〈誰か〉は男に伝えなければいけないことがある」
そう言って歩き出した青年を、自来也は暫く見つめていたが、やがて彼はその青年――〈誰か〉を追いかけることにした。人気の少ない森の中へ自来也を誘導し、そして〈誰か〉は静かに告げる。
「〈誰か〉は未来を見た。〈誰か〉はそれを、男に伝える。〈誰か〉は、〈暁〉が動き出すのを見た」
「……暁?」
そうだ、と〈誰か〉は頷いた。
「〈手に口を持つ男〉と〈命を持つ偶人〉、〈万華鏡の同胞殺し〉に〈尾のない尾獣〉。〈戦場を駆ける不死の武人〉と〈不死身の男〉に〈紙ふぶきの天使〉、〈降り止まぬ雨の神〉。それから、〈緑の森の無彩色〉に〈回る仮面〉――それが〈暁〉」
全く意味がわからなかった。一体なんなのか聞こうとして、自来也は口を噤む。これは一体、どこから聞けばいい? 暁とは何か。この青年は何者なのか。これを自分に教えて何がしたいのか。聞きたいことは、余りに多すぎた。
「〈月の眼〉――〈暁〉のその背後に立つ〈万華の男〉に気をつけよ」
去ろうとする男に、自来也は辛うじてこう問うた。
「おぬし――名前は?」
男は振り返って、奇妙な雰囲気を持った青い瞳で自来也を見た。そして、こたえた。
「〈誰か〉には名前がない。ただ、〈暁〉の〈不死身の男〉は、〈誰か〉をとても愛してくれる。〈誰か〉に沢山の死をもたらしてくれる。〈不死身の男〉だけではない。〈不死身の男〉を不死身にしたあの者たちも、今は古の闇に消えた者たちも。彼らはみな、〈誰か〉を愛してくれる。人間には、呼び名がいる。だから彼らは〈誰か〉にも名前をつけた。〈誰か〉を愛してくれているから」
ちらりと男は笑って見せた。
「〈誰か〉は、〈ジャシン様〉と呼ばれている。〈誰か〉は、血と死を好んでいる」
闇に溶け込んだ青年を、自来也は黙って見つめているしかなかった。
+
「えーでは、一文字はじめの棄権により――勝者、秋道チョウジ!」
「「ええぇええええええええ!?」」
全員の驚愕の視線を受けながらはじめは、なんとチョウジとの対戦を放棄したのである。相変わらず無感動な顔で歩いてくるはじめに、ナルトがはじめてみるような顔つきを向けた。
「なんで? なんで? なんで戦わないんだってばよ!?」
「なぜだ? なぜなんだはじめ? せ、先生は……先生ははじめの戦いぶりを期待していたのに!! 勝者一文字はじめという言葉しかきかないと心に決めていたはずなのに!! 何故だはじめぇえええ!?」
「ミント野郎、はじめを放せ。それ以上揺さぶると吐く
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