暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第54話 過去の痛み
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ヴォル・ウルフ》。先ほど説明をした様に、獣特有のスキルが備わっており、連携も凄まじい。1度に数匹まとめて飛びかかってきたのだ。
 同士討ちをする訳でも無い精密な連携で。

 もう、すぐそこにまで迫ってきている。だが……、リュウキは動く気配が無かった。回避行動を取る様子も全く見受けられない。

 それは彼らしくない事だ。
 普段の彼ならば、まるで背中に目がついているか? と思う様な反応をする。
 複数に襲われたとしてもその身のこなしは驚嘆であり、回避し、そのすれ違いざまに、一太刀でモンスターの急所を穿つ。
 その一撃は会心の一撃(クリティカルヒット)が殆どであり、モンスターたちは例外なく四散してゆく、一撃で死なないモンスターも勿論いるが、大した問題じゃないし、それが殆どだ。

 だが、今の彼はそう言う状態じゃない。

 そして、この状況は致命的とも言える。この層のモンスターは、パラメータ的には、遥かにリュウキよりも弱いが、無抵抗で攻撃を受けまるっきり大丈夫なわけが無い。
 以前のオレンジギルドの15人の攻撃を眉一つ動かさず攻撃を受けていた時とは、まるでレベルが違う。一撃一撃の重さが遥かに違い、奪われるHPも遥かに大きい。
 連携攻撃を得意とするタイプのモンスター複数にたてつづけに襲われれば自動回復(バトルフィーリング)もまるで意味を成さない。

 その獰猛な牙・爪がリュウキを引き裂く正にその瞬間。


「この馬鹿野郎ッ!!!」

 突如、まるでこのモンスター達が飛び出してきたそれを再現するかの様に、黒い影が一瞬の内に、リュウキとウルフ達の間に入ってきた。
 鮮やかな、その黒衣の刃の一閃が走る。

 その刹那の後 ウルフ達は、その攻撃をカウンター気味に受け、会心の一撃(クリティカルヒット)となり、その姿は一瞬のうちに硝子片となって四散して言った。
 残ったモンスターもいたが、例外なく 数秒後にはその身体を散らしていた。

 突然の来訪者は、倒した事を確認すると、素早くその黒剣を鞘に収めると。

「いったい何やってるんだリュウキ! こんな危険地帯のど真ん中で!」

 その黒い影の正体。全身を黒で決めているかの様な成り立ちの男。

「……ああ、キリト、か」

 リュウキは、漸く正気を取り戻したようにキリトを見た。その様子はまるで、今の状況を理解してはいないようだ。

「『キリト、か』 じゃないだろがッ! 死にたいのか!? 幾らお前とは言っても、あの数で、それに完全な無防備で攻撃を受け続けたらただじゃすまないだろ!?」

 呆然とするリュウキ、そして対照的にキリトをは怒っていた。
 リュウキは、この時初めて、今の自分の状況に気がついた様だ。ゆっくりと周囲を見渡す。あのMob達の命の残
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