第二章 [ 神 鳴 ]
二十四話 神々の戦 喪失
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戦は至って単純だ。簡単にいえば諏訪子を囮にして敵本陣から戦力を誘き出す事。内容は単純だが実際はそんな簡単な事じゃない。
そもそもこちらの大将である諏訪子を陣の先頭に置く事がハイリスク・ハイリターンな賭けだ。上手くいったから良かったが下手をすれば諏訪子が討たれて戦が終わっていた。
敵の戦力を引き剥がした後は僕とルーミアそしてスキマで回収した諏訪子の三人で手薄な敵本陣を強襲し神奈子を討つ手筈だった。本隊の方には敵が本陣に戻らないように死に物狂いで足止めをしてくれ、と命令してある。
途中までは予定通りだった。でもまさか神奈子と同等の気配を持つ人物が二人も居たのは流石に想定外過ぎた。
その事を吐露してしまった自分を叱咤し状況の打開策を考える。すると栗色の髪をした女性が此方に声をかけてきた。
「そちらにいるのはもしや諏訪の王、洩矢ですか?」
その瞳は僕の後ろに居る諏訪子を見つめていた。
「…そうだけど、あんた誰さ?」
いきなり自分を名指してきた人物に不審を隠しもせずに問い返す諏訪子。
「失礼、お初にお目に掛かります私の名は天照。大和を統べし者です」
「「「 はっ? 」」」
彼女の発言に僕達は間抜けな声を出してしまった。何で此処に敵の御大将が居るんだ?僕達の疑念を察したのか天照は続ける。
「古き大国である諏訪との決戦に大和の長として参じるのは礼儀と思いまして。もっともこの様な形で邂逅するとは思いもよりませんでしたが。しかし残念です、まさか歴史ある諏訪の国がそのような穢れを我々の戦に持ち込むなど……失望しました」
天照の嫌悪の視線の先にはルーミアがいた。どうやら相当な妖怪嫌いみたいだな。とりあえずお喋りに興じるほどこっちには余裕がない。さっさとしないと本隊が全滅する。
正直神奈子以外の二人は想定外だがその内の一人が敵の大将なら話は別だ。彼女を討てればこっちの勝利。討てなくても深手を負わせれば撤退させる事も出来る筈。
「お喋りばっかしてねーでとっとと始めようぜ!俺の名は須佐之男!大和最強の闘神だ!さぁテメー等も名乗りな!!」
そう言うと須佐之男は腰に佩いていた長さが七十センチ程刃幅が五センチもある剛刀を抜き放ちその切っ先を此方に向けてくる。
その横で神奈子が須佐之男の言葉に呆れながらもその手に長さ百八十センチ程幅が三センチの六角棍を呼び出していた。
「念の為に名乗ろうかね、あたしが八坂神奈子だ。まぁそこのあんたには一度名乗ってるけどね」
神奈子は僕を見ながら唇の端を少しだけ吊り上げる。こんな所で再会するなんて思ってもいなかっただろう。
相手の名乗りを受け諏訪子が声高々に応えた。
「あたしが諏訪の王、洩矢諏訪子!あたしの国に手を出した事をたっぷり後
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