第二章 [ 神 鳴 ]
二十四話 神々の戦 喪失
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「楓…何を…」
そう言いかけた僕の耳に今度は楓が何を言っていたのかはっきり聞き取る事ができた。
「…すみません…ごめんなさい…すみません……諏訪子様…」
謝罪。自分がした事に対して?違う楓は何も悪くない!悪くないんだよ!楓の胸元は真紅に染まりその瞳からは光が消えていく。そして身体から蛍の光のようなものが次々と舞い上がった。神が死ぬ時に発生する現象だ。
「……諏…訪子…様……早…希…何…処…」
僕の腕の中で楓が中に手を伸ばす。でも今彼女の求めている人物は此処にはいないんだ。そっと楓の手を取った。なんという偽善。彼女を死に追いやった僕に本当はそんな資格は無いのに。
僕の思いとは裏腹に楓は安心したように少し微笑むと完全に光の粒子となって散っていった。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
あ、危なかった!死ぬかと思った!あの男に言ったように操っている者に傷を転写できる、ただし一回だけだ。しかもそれを使えばその人物は二度と操れなくなる。
と、とりあえずあの男が向こうに行っている内に此処から逃げなければ!戦って勝てる相手じゃない!わたくしはこんな所で死んではならない存在なのだ!
わたくしがその様に逃げの算段をしていると、
「おお!やるではないか斎賀殿!本当に一人で此処の陣を落とすとは!」
援軍!おお!天はわたくしに味方した!これで恐れる事は無くなった!ハハハハハッ!見えるぞ!わたくしの輝かしい未来図が!この功績で愛しの天照様の側近として侍るわたくしの姿が!
援軍さえいればあの男を操れるはず。わたくしの能力は相手に名乗らせる事で発動する。あの馬鹿な女の様に操ってあげましょう!
わたくしは今だこちらに背を向けて膝をついている男に声をかける。
「あーこほん!そこの貴方もう勝ち目はありませんよ?大人しく投降した方が賢い生き方ですはい!と言う訳ですので貴方のお名前を伺ってもよろしいですか?」
わたくしの問いに男は背を向けたまま答えた。
「……錦月庵」
掛かった!すぐに能力を発動するが何故か手応えが無い。どういうことだ?
「……なるほどね、やっぱり名乗らせる事が発動条件か。聞き方が怪しかったからもしかしてと思ったんだよ」
男は振り返り困惑していたわたくしを見ながらそんな事をほざいた。
「楓は真面目だから素直に答えたんだろうね」
男はその場を動かず話を続ける。その隙に援軍で来た者達が男を包囲する。
「これは戦だ、楓が死んだのは仕方の無い事。僕の作戦でこの戦場でも沢山味方は死んでる。親しい相手だからって悲しむ資格は僕には無い」
この男は何が言いたいのだ?
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