第二章 [ 神 鳴 ]
二十四話 神々の戦 喪失
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に迫ってきた。幅が二メートルを超える水の槍が蛇の様な動きをしながら僕の命を狙う。
それだけではなく三十センチ程の円盤状になった無数の水刃が周囲を取り囲んでいた。回避に専念しながら僕は疑問を抱く。
おかしい、確かに楓は諏訪の中で一番格の高い水神だった。けどこれ程の力は無かった筈。
楓の攻撃に追い立てられている僕を嬉しそうに見ていた男がこっちの疑問を知ってか知らずか話し出す。
「驚いていますね?実はわたくしの能力で楓様の御力を限界無く発揮させているのです!」
予想以上に最悪な能力だった。
抑制機能と言う言葉がある。これは様々な事に適用する言葉だが人の筋肉で説明すると、人筋肉使用は高くて六割程、理由は脳が制限をかけているから。それは何故か、際限なく全力で筋肉を使用し続ければすぐに筋繊維が壊れる為だ。限界を超えさせないために働く機能それが抑制機能。
つまり人が限界を超えて動けば身体を壊す。では神や妖怪が限界を超えればどうなるか?存在が壊れるのだ。簡単に言えば形を保てなくなって消滅する。
あの男が操っている相手の抑制を意図的に外せるという事は、長引けば楓が消滅してしまう。
躊躇してはいられない。
「傲慢!」
左手に現れる小太刀。それと同時に空中に十数個の三十センチ四方のブロックを創り出しそれを勢いよく楓と男の周りの水場に叩きつけた。轟音と共に水飛沫で互いの視界が塞がる。
「なっ!な、何です!何が!」
突然の状況に男は慌てふためいている。たぶん楓はあの男の命令がなければ動かない筈。
なら男の視界さえ奪ってしまえば反撃はされない。こっちは気配で何となく相手の位置が分かる為視界が塞がってもさして問題じゃない。
僕は刀をしまい一気に距離を詰め水飛沫を抜ける。楓の丁度正面に飛び出し右掌打を当て楓を後方に吹き飛ばす。念の為の処置だ。
「え?なっ?」
そして呆気に取られている男の胸板に傲慢を突き立て一気に引き抜いた。紅い鮮血が舞う。
“楓の胸元から”
「え?」
男の後方で起き上がろうとしていた楓の胸に紅い彩が広がる。男の方を見れば傷以前に服にすら刺した後が無い。
何が?何で?何故?僕の脳内に疑問の嵐が起こる。
「は、はは…お、驚いていますね!わ、わたくしの能力は操っている者に傷を転写する事がで、出来るのですよ!」
男は尻餅をつきながらそんな事を叫ぶ。最悪だ!完全に僕の落ち度だ!男を無視して倒れた楓の元へと急ぐ。
「楓!しっかりして!」
抱き起こしそう声をかけた。自分の行動が白々しく感じる。僕があの男に放ったのは必殺の一撃だ。それを転写したという事は絶対に助からない。
「………」
楓が何かを呟いていた。
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