第二章 [ 神 鳴 ]
二十四話 神々の戦 喪失
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「う、うん、分かったわお父様…」
この後の情勢を予想して紫に指示を出す。
河上の陣の建て直しは恐らく不可能。あそこを捨てるという事はつまり敵が制空権を取り戻すという事。
そうなればこのまま防御陣を敷いていても各個撃破されるだろう。それなら全軍を集中して敵軍を受け止めた方がマシだった。
あくまでマシと言うだけで不利な事には違いない。とりあえず今は楓だ。一体何があったんだ?スキマを通りながら予想を立てる。
裏切った?まず在りえない。他の神ならまだしも楓が諏訪子を裏切って得をする事は無い。
じゃぁやっぱり何かしらの能力で操られている可能性が高い。操作系か支配系の能力かは分からないけど厄介だな。
敵の能力の対処を考えながらスキマを抜ける。目の前には楓が放った水刃がにとりを切り裂こうとしている瞬間だった。
刀を抜き放ちつつ全速力でにとりの前面に躍り出る。迫る水刃を跳ね飛ばし攻撃を放った楓とその隣にいる男と対峙した。
「…七枷様…」
にとりは憔悴した感じで呆然と僕を見ている。多分この状況に頭の方がついて行っていないのだろう。
「…紫、回収は任せたよ」
僕がそう言うとにとりや他の生き残った者達がスキマの中に落ちていった。その場に残ったのは僕達三人だけ。
そして男が喋りだした。
「今のは何です?もしかして今のが貴方達の奇襲攻撃の正体ですか?」
さすがに今の光景を見れば疑うか。まぁ正直に答える義理はないけど。
「さてね、そんな事よりその子返してくれないかな?大切な子なんだよ」
「仰っている意味が分かりませんねー。返せも何も彼女は自らの意思でこちらに居るのですよ?ねぇ楓様」
僕の問いに男はいやらしい笑顔を浮かべながらそんな事を言う。自らの意思でね…笑わせてくれるよ。
「そうなの?じゃぁなんでその子は泣いているんだろうね?」
僕の言葉通り楓は無表情で涙を流していた。そんな楓を見ながら男は、
「きっと嬉し涙でしょう!わたくしの為に!いや、大和の為に尽くせる事を喜んでいるのですよ!」
芝居がかった動きをしながらそんな事を声高に叫んだ。反吐が出るとはまさにこの事だろう。まぁなんとか相手の能力の推測は立った。
おそらく複数には使えない。使えるならすでに僕に使用している筈だから。楓の涙からして身体を支配するのであって精神を乗っ取る類では無さそうだ。
これなら直接能力者本人を叩けばいい。精神を支配する能力の中には自分が死んだ瞬間に相手に乗り移る奴もいる。
「君の戯言にこれ以上付き合う気は無いから」
そう言って一気に距離を詰める。しかし、
「甘いのですよ!楓様!!」
男がそう言った瞬間、楓の足元の水が螺旋を描きながら槍の様に僕
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