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インフィニット・ストラトスの世界に生まれて
海に行ったら、黄昏る その一
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にっこり笑い、胸を張り、自信に満ちあふれたその言葉。
文末に『てへ』とか『ハートマーク』がくっついていそうな勢いだ。
スライド式のドアの正面には、『教員室』と書かれた貼り紙がしてあった。

「ここって教師用の部屋ですよね?」

「そうですよ。でも、学園でも一緒に暮らしている仲じゃないですか。遠慮しないで部屋に入ってください」

遠慮したくなってきた。
一夏はまだいい、姉弟なんだからさ。
年頃の男女が一つの部屋で寝起きするのはどうなんだろうな。
それを言い出したら、山田先生と学園で一緒に暮らしているだろう何て言われそうだが、学園にいる時と違って、海とか山とか自然に近い所にいると精神が解放的になるからな、危険度は臨海学校の方が断然高いだろう。
廊下で寝る方がいいような気がしてきたよ。

「さあさあ、部屋に入りましょう」

山田先生は俺の背中に回るとぐいぐいと押してくる。
俺は『教員室』と張り紙された部屋にお邪魔することになった。
自分の荷物を部屋の隅に置いた俺は、せっかくなので部屋の実地検分を始めることにした。
部屋は和室で、広さは十畳くらいはあるだろうか。
二人で使うには、かなりゆったりした間取りになっている。
部屋の一番奥には大きな窓があり、そこからの眺めは海が見えることもありなかなかだ。
その窓の手前には、小さな四角いテーブルと背もたれと肘あてがある二脚の椅子、その場所と部屋を仕切るように手前には障子戸がある。
その他の設備は、トイレと男でも足が伸ばせるくらいの浴槽がある浴室、洗面台も専用の個室になっていた。
とりあえず寝泊りすることになる部屋の実地検分を終えた俺は、部屋の中央付近に腰を下ろす。
遅れて俺の正面に正座で座った山田先生は、背筋をすっと伸ばし、腿に手を置いた。
そして俺と視線が合うと、

「この部屋にベインズくんと二人だけでいるなんて、まるで新婚旅行みたいですね」

何てことを言いながら、少し俯き加減になると照れくさそうにもじもじとしている。
それを聞いた俺は噴き出した。
冷静に考えれば、IS学園一年生全員と一緒の新婚旅行とはまたずいぶんと安上がりというか、事のついでというか、やけに大人数だとか、まるでやっつけ仕事のような新婚旅行だと思うだろう。
山田先生は俺をからかっているのだろうが、時々本気なんじゃないかと思わせることがある。
最近は俺をからかうことが巧みになってきた。
さらにやるようにらったな、山田先生。
今回のもたぶん冗談だと思う。
そんな山田先生は、顔に真面目な表情を作ると、

「あ、あのですね、ベインズくん。旅館にある大浴場のことなんですが、男子
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