閑話2 〜日常の喧噪【暁 Ver】
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て、訥々と語り出した。
「えっと……アスナさんは竜召喚士を何だか勘違いしてるみたいです。アスナさんのお話は殆どわからなかったんですけど、『ちょこぼ』という生き物を喚んで欲しいという事だけはわかりました」
随分と面白──── いや、由々しき事態になっているようだ。いつだったかあたしも、河童はどこにいるのかアスナに問われ『それは、あなたの心の中にいるのよ』と、のらりくらりと答弁を繰り返す政治家のように答えた事があるが、今回は無理だろう。あたしがいつものように思考の海へ深く潜ろうとしていた時、第三者の声によってそれは中断を余儀なくされた。そう──── 第三者である。
「……なぁ、二人とも。何でその話を、私の部屋でするん?」
この部屋の主──── 八神部隊長にとっては、もっともな疑問であった。最早この部屋の風景の一部とかした書類の山の間から、敗残兵のような面持ちで顔を出す。
「ご迷惑でしたか?」
「ご迷惑っちゅうか……」
八神部隊長の仕事の邪魔をしているわけではないし、今は昼休み中だ。だが、彼女はどこか釈然としない顔をしている。
「他にもたくさん場所あるやん」
「書類を青息吐息で片付けている八神部隊長を横目で拝見しながら、キャロの相談に乗りつつ、お茶をするのも一興かと思いまして」
「この子最悪やわ」
あたしの少々理不尽だったかも知れない物言いに、八神部隊長が思わず零してしまったのも無理はないと思う。何しろ、故意なのだから。どうも八神部隊長は、なのはさんと一緒になってあたし達三人を調べているようなので、ちょっとした意趣返しと言うところだ。
唯でさえ書類仕事に忙殺されているところへ理不尽な追い込みをかけられては、八神部隊長の口から何かが出てきそうだけど。こう白っぽい霊的なモノが。彼女は援軍を求めるように周りを見渡すが、あたし達以外に誰かいるはずもなく。結局、八神部隊長は無言で机と仲良くする事を選んだ。
彼女が机に突っ伏してから数分。そろそろ机と一体化してしまうのではないかと、あたしとキャロが心配になってきた頃に八神部隊長が、徐に口を開いた。
「……それ、ゲームや」
それとは何を指しているのか一瞬わからなかったが、さきほどキャロが口にした『ちょこぼ』のことだと思い至る。
「ちょこぼってゲームなんですか?」
生憎キャロもあたしもゲームには疎かった。キャロにいたっては、キョトンとするばかりなので仕方なくあたしが聞き返した。
「ちゃう。正確にはあるゲームの中に出てくるキャラクターや。召喚魔法で喚び出すキャラクターでな。喚び出さなくても普通に捕まえて、乗り物にもなる便利なキャラクターやな」
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