番外編
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俺には無意味だ。何の魅力も感じられない。
「興味無いって顔してるな。だが、俺は知っているぞ。お前がただ一つ、興味を持っている力をな」
お前の事なんてお見通し……と言われている様で何だか気に食わないが、もう一度よく思い出してみる。俺が、興味を……
――俺の夢は……
――私の夢は……
「なるほど、コレか」
「見つけたな、では力をやろう」
俺の体を光が包み込む。そして、それと同時に俺の中で何かが失われていくのを感じた。
「コレが……」
「そうだ、お前が得た力だ」
右肩に乗るのは長い触角が特徴の緑色のかっこう虫、左肩に乗るのは雪の様な真白い蛍。そう、これはムシウタと言う小説の主人公とヒロインの虫だ。その小説において、虫とは簡単に説明すれば寄生者の夢を食う代わりに強大な力を寄生者に与える存在だ。
「確認したな、他にもいくつかおまけをつけといてやる。それじゃ行って来い」
思わず目を瞑ってしまう程の光に包まれ、俺の意識はそこで途切れた。
右に従えるは緑に輝く破壊のかっこう虫(けしん)。傷つけ、傷つけられ、一人になりながらも前へと進む悪魔(しょうねん)の虫。
左に従えるは白く佇む崩壊の蛍(ごんげ)。一度は夢を失いながらも、再び立ち上がり前へと進み始めた強者(しょうじょ)の虫。
二匹の虫を従えて、宮内健二の”制限時間”付きの夢をかなえる(けわしい)旅が、始まった。
「まずい!!」
目の前にそびえる鬼神、その口に強大な力が収束していく。既に満身創痍のネギ先生に、アレを防ぐ力があるとは思えない。かと言って、自分も防げはしないし迎撃も不可能だろう。お嬢様をようやく救いだせたと言うのに!
「お嬢様を助けたからっていい気になるんやない! 短時間ぐらいなら、ウチの力でも制御できるわ!!」
「エヴァちゃんはまだなの!?」
明日菜さんが何か言っているが、そんなことは耳に入らない。今、自分にあるのは眼を反らしたくなるような絶望だけ。
「あ、ぐうぅ……明日菜、さん。刹那、さん……にげ、て」
「そんなこと出来るわけないでしょ!!」
そして、絶望が放たれた。
「チッ、人が寝てる所でドンパチしやがって……」
迫りくる絶望を、希望の炎が迎え撃った。
「「なっ!?」」
「げっ!」
私とネギ先生が声を上げたのは突如として現れ、スクナの一撃をいとも簡単に迎撃して見せたことに対して。明日菜さんが声を上げたのは、多分目の前の人物の容姿からだろう。所々に太いベルトが付けられた漆黒のロングコートに顔の半分を覆い隠す機械的なゴーグル、手に持つ自動拳銃。そしてなにより、皮下で明滅する深緑の輝き。
「まぁいい。原因はあれだな?」
銃口
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