最終話
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「これは!?」
突如、健二の元へ降り注いだ光。健二にはそれに、覚えがあった。
「これは、明日菜の魔力!?」
「彼だよ」
先ほどから殆ど口を開かなかった神が、ここにきて再び口を開いた。
「彼が、最後に道を繋げてくれたんだ。さぁ、行きなさい」
「ああ」
これで準備は整った。健二の脳裏に、先ほどまではなかったはずの設計図が浮かび上がる。
――投影、開始!
投影する宝具、その名は……
――全て遠き理想郷!!
黄金の光に包まれる健二と明日菜を、男は一人見ていた。既に消える寸前である男は、あのエヴァンジェリンですら気づくことは出来ない。
(これで、よかったんだ)
鞘が出現した時点で健二が蘇る事は確定した。これで、何も心配することは無い。男は最後にもう一度明日菜に眼をやり……
(幸せに、な)
今度こそ、この世から完全に消え去った。
学園祭最終日から幾らか日が経ち、麻帆良学園は夏休みに突入していた。ネギ・パーティの面々は八月に来る魔法世界訪問に向け、修行に宿題にと、忙しい日々を送っている。
そんな中、明日菜と健二は互いに時間を作り、麻帆良の街を二人で歩いていた。
「…………」
「…………」
ただ、二人の間に会話はなく。近いけど遠い、という何とも言えない距離を保ったまま歩き続けていた。そして、それを打ち破ったのは健二だった。
「明日菜」
「な、なに?」
眼に見えてうろたえる明日菜に、健二は思わず笑みを浮かべる。このまま、彼女を眺めていたい気もするが、今日は大事なことを伝えなければいけない、と。健二は表情を改め明日菜と向き合った。
「明日菜、俺は……宮内健二は、神楽坂明日菜を愛している」
「う、え、あの……その……」
明日菜とて、これを予想していなかったわけではない。自分を好いている男から、大事な話があると言われれば、明日菜とてさすがに気付く。だが、予想してたからといって冷静に受け入れられるかは別問題だ。
「えっと、その」
「無理に急がなくていいさ。今日は、自分の想いを伝えたかっただけだから」
「よくない! でも、その、ちょっとだけ待って。絶対に、返事はするから」
自分とて思い人にフラれたばかりだというのに、ちゃんと此方の事を考えていてくれる。その事実に、健二は明日菜に惚れたことが間違いではないと、今一度再認識した。だが、ここでふと悪戯を思いついた。少しぐらい、いいか。と健二はその悪戯をそのまま口にする。
「分かった。明日菜の返事を待つよ。だけど、急いだ方がいいかもよ?」
「え? どういうこと?」
「あんまり待たせる
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