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チートだと思ったら・・・・・・
最終話
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でも男は明日菜のために己が消滅することを受け入れた。それは、明日菜のために命をかけた宮内健二(こいがたき)への、最後のわるあがきだったのかもしれない。

「分かった。俺は、戻る。明日菜の元へ」

健二とて馬鹿では無い。男が自分と同じように明日菜に惚れているのだと理解している。そして、惚れた女のためにという男の願いを、健二は無下にすることはできない。

「だが、俺はそうすればいい?」

「肉体は、お前が放った魔法の所為で半分が黒こげだ。だが、お前は知っているだろう? そんな状況からでも、復活できるような奇跡のアイテムを」

確かに、一つ心当たりがある。だが、アレは使用どころか、投影すらできないはずだ。本当にそれで、と健二が疑心暗鬼になるのも仕方ない事だろう。

「大丈夫。確かに、お前一人じゃ無理だ。だが、二人の力があれば……」

「……そういう、ことか」

さすが、といえばいいのだろうか。男が核心を話していないにも関わらず、健二は理解したようだ。

「おい」

「何だ?」

「……もう、泣かせるなよ?」

「ああ、当然だ」

その身を光の粒子へと変えながら、男は拳を健二へと突き出す。健二は笑みを浮かべて自分の拳を突き出されたそれへとぶつけた。

「それじゃあ、頼む」

「うむ、わかっておるよ」

男は完全に光と成り、静かにその姿を消した。





(…………だ)

「ふぇ?」

ようやく、涙が落ち着いてきた所で明日菜は誰かの声を耳にした。聞き覚えのある、されど何処か違和感を感じる不思議な声だ。

(あき……な。仮……する、んだ)

「誰? 誰なの?」

突然声を上げた明日菜に周囲は驚くが、明日菜はそんなこと一切気にせずに声を聞きとることだけに集中する。何故か、そうしなければいけない気がした。

(あきらめるな。アイツは、まだそこにいる)

「アイツ? アイツって……」

明日菜は慌てて、健二の亡骸を抱き上げる。そして、誰のものかも分からぬ声に大声で問うた。

「どうすれば……どうすればいいの!?」

(仮契約を。そうすれば、道は繋がる)

「仮、契約!」

それを聞いてからの明日菜の行動は早かった。戸惑うネギ達をよそにカモへ契約の魔法陣を書くように指示する。一体何を、と思ったカモも明日菜の有無を言わさぬ迫力に自己ベストを更新するほどの速さで陣を書きあげた。そして、明日菜は陣の中に健二と共に入った。

「健二……まだ、アンタの口から聞いてないし、私も返事をしてないのよ。だから……」

――帰ってきなさい!

明日菜と健二の唇が重なり、辺りを光が包み込みこんだ。そして、現れたのは青い装飾の施された黄金の鞘。その名を……


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