最終話
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ランサーは矢避けの加護、それもランクにしてBを保持している。射手を視界に収めた状況でならば、その加護を越える何かを持ってしなければ彼に矢が届く事は無い。エミヤ本人ならばスキル、千里眼Cの命中補正で可能性が無くはないのかもしれないが、少なくとも健二には普通の矢をランサーに充てる方法は持ちあわせていない。
「だから、無駄だってのが分かんねえのか!」
そもそも健二が矢を射るのは当てるためではない。ランサーが短気なのではとこれまでの会話から何となく感じていた健二は苛立たせることによって少しでも相手の判断能力をそごうとしていたのだ。そして、その企みは成功し、相手は怒って此方へと特攻をしかけてきた。最初の突きよりかは幾分か早いが、まだ見切れる。健二は弓を消して新しく武器、”紅い二槍”を投影し迎え撃った。
「な、にぃ!」
健二が双剣で来ると思い込んでいたランサーは予定よりも早く己の槍が弾かれたことに一瞬動揺する。それを見逃さず健二はランサーの胸へと突きを放った。
「ちっ、防がれたか」
健二の胸への一撃は一切感知出来ない速度で突然現れたランサーの槍によって防がれた。おそらく、今の防御は命の危機を感じての咄嗟の行動であったはず。ならば、限りなく本気に近い動きだったはずだ。やはり、本気を出されては見切れない。また一つ、健二は自分の予測を確かなものにした。
「てめぇ、舐めたことしてくれるじゃねえか!」
槍を構えるランサーが発する闘気が高まっていく。戦いはそう長い時間かからずに終わる。それが健二が描く筋書きだ。だが、それでも戦いは始まったばかり。健二は一人、強大過ぎる敵に立ち向かう。
紅い三本の槍が縦横無尽に振り回される。二人の槍使いは己がもつ技術を駆使し、相手の急所を貫かんとする。しかし、互いに一つも攻撃を受けることなく、既に百に迫る攻守のやりとりが成されていた。
「お、らぁ!」
「ッグ!?」
一際大きいモーションで放たれた薙ぎ払いを健二は右に持つゲイ・ボルクで受け止める。槍を通して伝わる衝撃は、身体強化を使っているにも関わらず健二の骨を軋ませる。
「こなくそっ」
一端距離を置きたいがために放った苦し紛れの突き。だが、そんなものをランサーが恐れる筈もなく。地面を這う様にして槍を掻い潜ったランサーに、
「飛べ!」
容赦無い蹴りを水月に叩き込まれた。痛みと同時に、耐えがたい苦しさが健二に襲いかかる。だが、それでも倒れたり咳き込む様な無様な真似はせず、なんとか体勢を立て直しランサーへとガンを飛ばす。
しかし、ランサーにはそれが滑稽に見えたのかニヤニヤと健二を小馬鹿にしたような笑みを浮かべている。
「槍を使いだしたときには驚いたが、所詮はこの程度。俺に敵うはずはねぇよなぁ。ま
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