暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos3八神家の日常〜Happy Birthday dear…〜
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ると動き回る。そしてシャマルは何を思ったのか俺の右手を取り、トンッと肩に額を当てて来た。僅かに震えるシャマルの手に空いている左手を重ねて「シャマル?」と声を掛ける。すると「きゃっ? ごめんなさいっ」慌てて手を放し、頭を下げて謝ってきた。

「そこまで必死に謝られると俺が悪いことしたみたいなんだけど・・・」

他のお客さんから「やだ、痴話げんか?」「女の子に頭下げさせるとは感心せんなぁ」「別れろ」などなど冷たいお言葉と視線が。とりあえずそんな視線から逃れるために場所を変える。

「さて。警備員に目を付けられないために、歩く位置を決めようと思う」

俺の独断だが、俺たち八神家の家主であるはやてが中央。車椅子を押すのがヴィータ。ヴィータの後ろにシグナムとシャマルが横に並ぶ。そして問題の男であるザフィーラと俺だが。男が女性の後について歩くのが悪い。となれば。

「俺とザフィーラは2人のどちらかの隣を歩く。横を歩いていれば知人友人として見られるだろう」

隣を歩いていても声を掛けられた場合は自分たちの外見やその人の仕事熱心さを理由に諦めるほかない。位置としてはシグナムの右隣をザフィーラ。シャマルの強い要望で俺がシャマルの左隣、となった。ご機嫌なシャマルに「では行きましょ、はやてちゃん♪」と促されたはやては「そやな」と頷き、俺たちを率いて洋服店へと向かう。そうして洋服店に着き、はやては3人からのリクエストや自分の意見を交えて3人の衣服を見繕い始めた。

「シグナムもシャマルもスタイルすごく良えし、ヴィータも可愛ええから、選びがいがあるわ〜♪」

そんな彼女たちを眺めている俺とザフィーラ。時折こちらに振り向いて、服を胸の高さまで掲げて見せるはやて達に「似合ってるよ」と微笑み返し。やっぱり同性と買い物することが嬉しいようだ。姉のようなシグナムやシャマル、妹のようなヴィータが出来て、はやての笑顔は途切れることを知らない。

「シュリエルって子にも早く会いたいなぁ〜。こうゆう風に一緒に買い物してみたいわ〜」

「っ、そ、そうですね。あの娘ったらお寝坊さんですから」

「いずれ起きますよ、主はやて」

「そっかぁ。もう少しの辛抱やな」

しょんぼりしたはやてだったが、すぐに笑顔になった。そんなはやてを見て俺は後悔中。俺は失敗した。はやての優しさを思えば、シュリエルの事は黙っておくべきだった。シュリエルに会いたいという思いと、シュリエルを起動するのに必要な魔力を集めるために人に迷惑を掛けたくないという思い。
家族を選ぶか人への迷惑を選ぶかの二択。その葛藤を抱かせないために俺は、シグナム達にシュリエルの起動条件をはやてに隠すようお願いした。シグナム達もそれでなんとか納得してくれた。

「――じゃあ、服はこれくらいでええな♪」

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