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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十一話 フェザーン謀略戦(その3)
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が笑うのを止めた。そうだ、お前ら笑うのを止めろ。俺は真面目な話をしているのだ。ペットボトルの水を一口飲んだ。温くなっていたが美味かった。

「帝国に疑いを抱かせる、それだけが目的なら私がここに来る必要は無いんです。やりようはいくらでも有る。そうでは有りませんか」
「……」
また無言か、ルビンスキー。シェーンコップ達も顔を見合わせている。黒狐よ、狸の攻撃を受けるが良い。俺はにっこりとルビンスキーに微笑みかけた。

「もう一度言いましょうか、独立しませんか、自治領主閣下。貴方にはこの言葉の意味が分かるはずだ」
「……」
ルビンスキーの顔が強張った。レムシャイド伯が俺と黒狐の顔を交互に見ている。

「地球から独立しないかと言っています」
俺の言葉に執務室がざわめいた。
「馬鹿な、何を言っているのだ!」
ルビンスキーがざわめきを打ち消すように声を出した。だが皆がルビンスキーを訝しそうに見ている。

残念だな、それはお前の声じゃないんだよ。お前に会った人間なら誰もがお前の声を意識に刻み込むだろう。自信と傲岸さ、ふてぶてしさに溢れた声だ。今のお前の声は大きな声では有った。だが自信も傲岸さも無かった、ふてぶてしさもな……。

「隠しても無駄ですよ。私は全てを知っているんです。前回の戦いで私が言った言葉を知っているでしょう」
「……」
俺の言葉にルビンスキーの視線が泳いだ。微かに“馬鹿な”と呟く。俺がクスッと笑うとギョッとしたような視線を向けてきた。可笑しかった、今度は笑い声が出た。

「“世の中には不思議な事がたくさんあるのですよ。知らないはずの事を知っている人間がいる。私もその一人です”。それは帝国の事だけじゃ有りません、私はフェザーンの事も知っています」
「馬鹿な、何を言っているのだ……」
語尾が弱い、どうした、ルビンスキー。

「貴方はフェザーンの支配者などではない。雇われマダムですらない、精々主人の留守を守る有能な奴隷、そんなところです。貴方自身それを分かっているはずだ」
「……」

ルビンスキーの顔が朱に染まった。色黒の男が顔を朱に染めると屈辱感がより強調されるな。自分では分かっていても普段はそれを押し殺していたのだろう。自分こそがフェザーンの支配者だと自負してきた。それが虚飾に過ぎないと俺に指摘された……。屈辱だろうな、ルビンスキー。

「一体何の話だ、ヴァレンシュタイン」
レムシャイド伯が問いかけてきた。混乱しているな。しきりに俺とルビンスキーの顔を見ている。伯だけじゃない、皆が混乱していた。

「簡単な話ですよ、レムシャイド伯。フェザーンの真の支配者は地球なんです。そしてその地球を支配するのが地球教の総大主教。自治領主閣下はその奴隷にしか過ぎない。そう言っています」
黒狐の顔が更に朱に染ま
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