十九話
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る様だがそれでも明日菜と一番付き合いが長いのは自分なのだという思いが驚愕を上回ったのだ。
「あら、あの方は……」
だが、駆けだしてすぐにあやかはとある人物を見かけた。白い髪に褐色の肌。それらに当てはまる人物はあやかの記憶には一人だけだ。何故こんな場所に一人で、というのとどこかおぼつかない足取りに疑問を抱いたが今は明日菜が先決だと再び足を動かし始めた。
ふと気付けば健二は人気が少ない場所にあるベンチに座っていた。どうやってここまで来たのかは覚えていない。それほどまでに先ほどの件は健二の精神に大きく影響を及ぼしていた。今はとにかく、何も考えたくないと健二は眼を閉じた。
「宮内さん、宮内さん」
「……え?」
「大丈夫ですか? 何度お呼びしても反応がありませんでしたよ」
ふと何かが聞こえた気がして健二が顔を上げると、そこにはあやかがいた。呑気に寝てしまったのか、ただ単に放心していたのか。健二には分からなかったが、とにかく心配をかけてしまったみたいだ。
「わざわざすみません。ちょっと、疲れちゃって」
「お隣、よろしいですか?」
「どうぞ」
横にずれてあやかが座るスペースを空けながら健二は何故彼女がここにいるかを考えていた。確か、彼女は明日菜を慰めるはずではなかっただろうか。それが済む前なのか後なのか……いや、良く考えてみれば済んだ後でなければこんな場所で座ったりはしないだろうと健二は思考を打ち切った。
イスに腰掛けたあやかは健二の顔をこっそりと見ていた。そして、自分が彼の元に来たのは間違いではないと悟った。明日菜を慰めた後どうにもあの場にいた健二が気になり彼女は探していたのだが、見つけてみればどうだ。何度呼びかけても反応が返ってこず、ようやく反応したかと思えば声にも挙動にも力がこもっていない。極めつけは眼だ。数回しか会ったことのないあやかにも分かるぐらいに、今の健二の眼からは光が失せていた。
「何か悩みがあるんですの?」
「………………」
「私は長年クラス委員長を務めてますから、それなりには聞き上手と自負しています。数回しか会ったことのない私に話すのは抵抗があるかもしれませんが話して楽になることもありますわよ」
「………………」
健二からは中々反応が返ってこない。だが、あやかはじっと待ち続ける。何かと問題が耐えない3-Aのメンツでクラス委員長を長年務めるほどに彼女は世話好きなのだ。こんな状態の健二を捨て置くなど、できるはずもない。
「見て、しまったんだ」
ゆっくりと発せられる言葉にあやかは真剣に耳を傾ける。
「雪広さんも、いたんだろう? あの場に……」
「で、では」
「ああ、明日菜の告白を見てしまった」
やはり、という思
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