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第三章
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「こっちはどうかしら」
「いや、ちょっと前に日本一になってるから」
「今も優勝狙える戦力あるじゃない」
「親会社の資金もあるし」
「また狙えるでしょ」
「出来れば日本一になってね、そのシーズンオフも球界の癌の強奪を防いで」
 巨人のことに他ならない、巨人は球界の癌どころか日本の恥と言っていい。マスコミの横暴と腐敗という戦後日本の悪病の象徴である。
「それでね」
「まあそっちはね」
「ホークス次第ね」
 友人達はそれはと話した、それはともかくとして。
 朋子はその生徒集会を楽しみにしてた、そしてその集会において。
 先生はまず教室で生徒達にこう言った、その言葉とは。
「じゃあまずは皆さん体育館に入って」
「そしてですね」
「そこで並ぶんですね」
「そうです、いつもとは逆に」
 背の高い順に前から並ぶというのだ。
「そうしますので」
「わかりました、それじゃあ」
「校長先生の言う通りですね」
「今日は逆ですね」
「逆に並ぶんですね」
「そういうことです、じゃあそういうことで」
 先生は自分の生徒達に明るい笑顔で話した、そしてだった。
 一同はまずは体育館に向かった、朋子の足取りは軽くスキップしている感じだった、その足取りで向かう彼女に周りはまた言った。
「本当に嬉しそうね」
「朋ちゃん跳ねてるわよ」
「もうスキップっていうかね」
「そんな感じよ」
「だって嬉しいから」
 それでだとだ、朋子も自覚して応える。
「どうしてもね」
「やっぱりそうなのね」
「嬉しいのね」
「そうなのね」
「そう、気持ちが抑えられないのよ」
 子供の頃からの願いが適うからだ、まさにそれでだった。
「じゃあ今からね」
「ええ、体育館に行ってね」
「並びましょう」
「是非ね」
「逆にね」
「一番後ろってどんな気持ちかしら」
 その軽い足取りでにこにことして述べる、
「一番前はわかるけれど」
「だからそれがね」
「今からよ」
「今から適うからね」
「そうよね、今からそれを実際にね」
 味あわせてもらおうとだ、こう言ってだった。
 朋子は体育館に入った、そのうえですぐに並んだ。やはり彼女は列の最後列であった。そこに並んだのだった。
 最初は皆を前にしてとても嬉しかった、だが。
 ふとだ、皆が並ぶのを前に見ながら思ったのだった。
「あれっ?」
 前には大勢いる、だがだったのだ。
 振り向くと誰もいない、そしてそのことがだった。
 妙に寒く感じた、それでだった。
 集会の間背中がどうしても気になった。それでだった。
 集会が終わってから教室に戻って、友人達にこのことを言った。
「一番後ろってね」
「ええ、どうだった?」
「どんな気持ち?」
「微妙ね」
 まずはこう言ったのだ
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