第二章
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「そうしてみますか」
「ああ、食事は家庭からだからな」
監督もコーチの言葉に頷いた、そしてだった。
コーチは瑛久の家に電話を入れてそのうえで妻の美樹に話した、穏やかな顔でいつも微笑んでいる長い髪の妙齢の女だ、歳は瑛久と同じだ。
その彼女にだ、コーチは事情を話すのだった。
「ですからあいつに」
「肉や牛乳をですか」
「食べさせてくれませんか?」
そして偏食を何とかして欲しいというのだ。
「そうしてくれますか?」
「わかりました、ですが」
「家でもですね」
「主人はどっちも食べないです」
肉も牛乳もだ、本当に全くだというのだ。
「全く」
「家でもですか」
「出しても箸をつけなくて」
全く受け付けないというのだ。
「見向きもしません」
「そうですか」
「お魚やお野菜は食べてくれますが」
「ああ、それだと駄目なんで」
とにかく肉や牛乳を口にさせて欲しいというのだ、コーチは。
「あいつ今一つスタミナ不足なんで」
「だからですよね」
「はい、奥さんからもお願いします」
美樹に電話越しに頼む。
「そうして下さい」
「わかりました、ですが」
「難しいですか」
「主人本当にそういうのは口にしませんから」
そこまで嫌っているからだというのだ。
「難しいですから」
「一切れも食べないですよね」
「牛乳だと一滴も」
とにかく全く口にしないというのだ。
「ですから」
「しかしです」
「それでもですよね」
「そうもばかり言っていられないので」
瑛久のスタミナ増加はチームにとって欠かせないというのだ、そしてだった。
「ご主人の為にもいいので」
「偏食でスタミナが少ないと」
「やはり成績、現役年数に影響が出ます」
そこまで見てだ、コーチは言うのだ。
「ですから本当にお願いしますね」
「わかりました」
美樹も答えるしかなかった、彼とて夫は大事だと思っている。それで何とかしたいと思っているのだ、コーチに電話を受ける前から。
だが、だ。それでもだった。
瑛久はとにかく肉を口にしない、魚や野菜ばかりだ、勿論牛乳も見向きもしない。
その彼にだ、美樹は一緒のテーブルで食べながら言うのだった。今二人は揚げを焼いたものと野菜炒めを食べている。野菜炒めにも入っているのは人参とキャベツ、ピーマン、玉葱だけだ。肉は一切入っていない。
その野菜炒めを食べつつだ、夫に言ったのである。
「ねえ、貴方ね」
「何だよ」
夫は妻の言葉に応えた。
「お肉は」
「食べないよ」
すぐにだ、彼は不機嫌な顔で返した。
「絶対に」
「そうなのね」
「嫌いなんだよ」
とにかくだ、肉は駄目だというのだ。
「牛乳だってな」
「そう言うのね」
「ああ、それ以外なら」
食べら
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