第三章
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「部屋代はかなり割引きますから」
「お二人にはそれぞれの部屋に分かれてもらって」
「それで住んでもらうってことで」
「それで、ですね」
「ことを解決してもらいましょう」
こう言ってなのだった、大家さんは佐藤さんと一緒に問題の夫婦に同じアパートの中での別居を提案した、大家さんの家の客室に呼んだうえでだ。大家さんと佐藤さんは夫婦と向かい合ってそのうえでソファーで話をしている。
その話を聞いてだ、まず旦那さんの方が腕を組んだ姿勢でこう言った。
「ええ、じゃあそれで」
「いいんですね」
「正直こいつとは暫く顔を見合わせない様にしようって思ってたんですよ」
こう奥さんの方を見て言った、足はかなり開いている。
「部屋代はですね」
「二つの部屋で一部屋分でいいですよ」
大家さんは二人に言った、喧嘩が続くよりはと考えての処置だ。
「それで」
「じゃあ俺はそれで」
「あたしもですよ」
奥さんも奥さんで旦那さんの方をじろりと見て言った。
「この宿六とは暫くは」
「そういえばお二人共昨日の夕方は」
佐藤さんはその時部屋にいなかったがアパートの人から話を聞いていた。
「また、ですね」
「だってこいつ変なこと言うんですから」
旦那さんが奥さんを指差して佐藤さんに応えた。
「もうね、風呂は二日に一回洗うべきだって、俺は毎日だって思うんですよ」
「それ位でいいでしょ、お風呂は」
「そんなの毎日に決まってるでしょ」
「毎日お掃除するのはおトイレよ」
奥さんは奥さんで言う、尚アパートはそれぞれの部屋にトイレも風呂もある。しかもユニットにはなってはいない。
「一番綺麗にしないと」
「トイレこそ二日に一回でいいだろ」
「あそこが一番汚れるでしょ」
「一番はお風呂だろ」
「違うわよ、トイレよ」
ここでも二人で言い合う、その二人にだった。
大家さんは内心呆れながらもだ、またこう言った。
「じゃあそれでいいですね」
「ええ、喜んで」
「そうさせてもらいます」
旦那さんも奥さんも承諾した、そしてだった。
篠原さん夫婦は同じアパートの中で別居した、旦那さんはそのままの部屋であり奥さんは三階の空いている部屋304号室になった、そうすると。
アパートに平和が戻った、夫婦喧嘩はなくなった。
旦那さんも奥さんも笑顔でだ、佐藤さん達にこう言った。
「いや、やっぱりいいですね」
「嫌な奴と会わないってことは」
「本当に口が悪いですからねあいつは」
「すぐに言い返してくるんですから」
「ものを投げてくるし」
「襟首掴んでくるし」
殴り合いになることもしょっちゅうだった、この二人は。
「全く、一人で勝手にしろって」
「そう思いますよね」
こうそれぞれ言ってお互いに独り身の生活を満喫してい
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