第六章
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「あの曲いいからな」
「よし、じゃあ今から一曲な」
「皆で歌うか」
「踊ることは出来ないかな」
インドから来たと思われる浅黒い肌に彫のある顔の彼が言って来た。
「ここは」
「インド映画じゃないからな」
「それは無理だな」
流石にだというのだ、それで流石にこれはなしになった。
だが皆立ち上がってだ、それぞれの国の訛りが入ってしかもたどたどしいが日本語でその曲を歌いだした。
そしてだ、ブロンドの美人が笑顔で大和に声をかけてきた。
「あんたも歌う?」
「ああ、この曲だね」
「そう、どうするの?」
「そうだね、じゃあね」
「私もオーストラリアから来たけれどね」
この美人はこの国から来たというのだ。
「いや、日本にはいい曲がオーストラリアと同じだけあるね」
「オーストラリアにもあるんだ」
「オーストラリアはカンガルーや鮫だけじゃないよ」
その他にもあるというのだ、勿論捕鯨反対だけでもない。
「音楽だっていいんだよ」
「だからだね」
「日本の曲も好きだよ」
それもだというのだ。
「好きだよ」
「そうなんだ」
「うん、そうだよ」
こう大和に話すのだった。
「それじゃあ今からね」
「じゃあ僕も」
「どの国の人間も楽しく明るく一緒にやるに越したことはないからね」
だからだというのだ。
「楽しく一曲ね」
「よし、じゃあ皆楽しくやってくれよ」
マスターもだ、笑顔で彼等に言う。
「ここはこうした店だからね」
「国籍とか関係ないね」
大和も言う、それこそ些細なものだというのだ。
「それは」
「だろ?そんなことはすぐにわかるんだよ」
この店で飲んでもだというのだ。
「知らないからあれこれ差別するんだよ」
「そうだよね、じゃあね」
「わしはここで仕事だけれどな」
それでもだというのだ、客達は。
「皆楽しくやってくれよ」
「ああ、そうさせてもらうよ」
「マスターには悪いけれどね」
「悪くはないさ」
マスターは客の一人のアジア系のベトナム語の訛りのある日本語に笑って返した、そしてこう言うのだった。
「見て楽しめるからね」
「だからなんだ」
「いいんだ」
「この店の雰囲気が好きなんだよ」
オーナー兼シェフである彼もだというのだ。
「あんた達を見ていることがね」
「よし、じゃあマスターの為にも」
「ここは楽しく」
こう話してそしてだった。
大和も他の客達、日本人もいるが多くの国から来た客達は肩を組み合い色々な国の料理に酒を飲みつつ心ゆくまで楽しんだ、そして。
「またこの店に来てな」
「ああ、楽しくやろうな」
こう話すのだった、そして。
大和は上機嫌で店を後にした、そしてその途中ゴミ捨て場の中に酔い潰れている若者を見た、その若者は乱
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