第三章
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「それだけで人間のランクが五段階は落ちるね」
「そこまで落ちるね」
「世の中人種や国籍だけじゃわからないよ」
マスターは目を顰めさせて言う。
「それだけじゃね」
「全くだね」
「人間はそれぞれなんだから」
「国籍だけで人間が決まったら凄いね」
「あはは、そうなったらわかりやすいね」
この店に抗議に来る連中の主張通りならというのだ。
「世界はどれだけ簡単なものか」
「だからその国の人間は戦争になって減ればいいとか平気で言うんだね」
「言うよ、ああした人達は」
それも平気で、だ。人間の命を軽く見ている証拠であろうか。
「けれど自分達は減りたくないんだよ」
「自分が言うからにはまず、って思うんだけれどね」
「そうは考えないんだよ」
自分自身には、というのだ。
「絶対にね」
「本当に絶対にだよね」
「ああした人達はそうなんだよ」
あくまで自分本位である、だから平然と人種差別主義的な主張をネットでも店の前でもするのであろうか。
「その国のことも国民のこともね」
「全然知らないね」
「知らないから偏見を持つんだよ」
即ち無知無学だからだというのだ、やはり人間には学問が必要なのだろう。そこから人間性を磨くのならば。
「そうなるんだよ」
「そうだね、本当に」
「その日本人達とね」
マスターはまた店の中を見回した、自分の店の料理や酒を心ゆきまで楽しんでいる様々な国の人達を見てである。
「この人達はどっちがいいかな」
「そのことも言うまでもないよね」
大和はビールを飲みながら笑顔で言った、そして来た料理を食べる。
「日本人でもどうしようもない人達っているからね」
「マナーの悪い人達がね」
「僕だってね」
大和も自分を振り返り言う。
「マナーについては反省することが多いよ」
「わしもだよ」
マスターもだというのだ、マナーについては。
「反省することしきりだよ」
「いつもそうだよね」
「うん、そうだよね」
「普通はね」
あくまで常識を備えている人間の場合はだ、店の前まで来て人種主義的抗議をする人間に常識があるかというと。
「そうだよ」
「ああした連中って自分を保守って言うね」
「保守?馬鹿言ったらいけないよ」
マスターは彼等の主張を鼻で笑った、本当に一笑に付した。
「あんなのは保守じゃないよ」
「じゃあ何かな」
「ただの人種差別主義だよ」
それに過ぎないというのだ。
「人種差別なんて保守でも何でもないよ」
「人種差別は思想でもないね」
「全くね」
人として軽蔑すべき偏見、それ以外の何でもない。
「本当の保守、わしこれでも昔から色々本を読んでるけれどね」
「ああした主張はだね」
「違うよ、保守じゃないよ」
決してだ、そんなものではないと
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