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永遠の今
第四章

[8]前話
「実験に使われた死刑囚達はばらばらになったものを掘り起こしてコンクリートで包んでまた捨てた」
「もうこれで証拠はなくなった」
「あいつもな」
 話が肝心の部分についてになった、
「細切れにしてパーツごとにコンクリートで完全に覆って地中深くに埋めた」
「もう出て来ない」
「まさか首を切ろうがばらばらにしようが生きているとはな」
「まさに不死身になっていたな」
「だがな」
 それでもだというのだ。
「ばらばらにして破片ごとにコンクリートに詰めて深く埋めた、もう大丈夫だ」
「二度と出ることはない」
「埋めた場所も海の奥深くだ」
「誰が見つけたり掘り返すものか」
「あいつはあそこでずっと生きる」
「そう、ずっとな」
 こう話すのだった、ナベツネスキーがどうなったのかを知るのは彼等だけだった。
 しかし彼等の誰もナベツネスキーの行方を話そうとはしなかった、その結果彼は死んだのだろうと言われる様になった、それで全ては終わった。
 だがある水夫がとある港の下に仕事で潜った後で仲間達にこんな話をしたのだった。
「何か海の底から声が聞こえる気がするんだよな」
「おい、幽霊か?」
「それとも妖怪か?」
「それはわからないけれどな」
 首を捻りながら仲間達に言うのだった。
「聞こえるんだよな」
「そりゃ気のせいじゃないのか?」
「海の中でも色々音がするしな」
 それにだった。
「潜る時の服だと音もまともに聴こえないだろ」
「気のせいだろ」
「そうか、気のせいか」
 水夫も仲間達の話を聞いてこう考えた。
「そうだな、海の底の中に何かいる筈もないな」
「そうだよ、何もいないよ」
「いる筈がないさ」
 仲間達は彼に笑って言った、そしてこの話は完全に消え去った。ことの真実を知る者は新政府の要人達が全て死んだ時に誰もいなくなった、それで全ては終わった。


永遠の今   完


                         2013・6・1
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