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永遠の今
第三章

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「クーデターが成功したのはいいがな」
「ああ、かなりましな政権になって飢えもなくなったしな」
「馬鹿みたいな軍事費もあいつだけの贅沢の為の浪費もなくなった」
「それはいいことだよ」
 まさにいいこと尽くめだった、だが。
 誰もがだ、このことに妙に思った。それはどういったことかというと。
「ナベツネスキーはどうなったんだ?」
「あいつは何処に行ったんだ?」
「何か不死身になったとか言ってたけれどな」
「それは嘘で死刑になったのか?」
「いや、死刑にしたのなら新政府も言うだろ」
 それを宣言するというのだ。
「クーデターの時にで殺したとかな」
「処刑したとかな」
「そうだな、生きてたら裁判にかけるしな」
 それも公開でだ。
「それから死刑にするだろ」
「けれど何でクーデターが成功しただけなんだ?」
「ナベツネスキーはどうなったんだ?」
「国外に亡命したか?」
 この説も出た、だがだった。
 今更ナベツネスキーを受け入れる国もなかった、このことも明らかだった。
「もう完全に見捨てられていたからな」
「世界の孤児になっていたからな」
 ナベツネスキーは他国との交流を断ち完全に鎖国状態にしていた、国民が国外のことを知らない様にする為である。
 その彼を救う国もなかった、だからこの説はすぐに否定された。
「違うな」
「ああ、違うな」
「国外に亡命はしていないな」
「それなら極秘でも出るのにな」
 噂としてもだ、だがだった。
 こうした話も全く出なかった、それでだった。
 ナベツネスキーの行方はようとして知れなかった、クーデターを起こした新政府の要人達もその話を聞かれてもだった。
 ただだ、こう言うだけだった。
「あの男はもう二度と出て来ない」
「出て来ないということは死んだのですか?」
「クーデターの時にそうなったのですか?」
「それならそう思っていてくれ」
 死んだと、だというのだ。
「こちらはそれで構わない」
「?何かおかしいな」
 この返事に誰もが首を捻った。
「死んだと思っていい?」
「じゃあ死んだのか?」
「死んだのなら死んだと言うだろ」
「それでどうしてそう言うんだ?」
「訳がわからないな」
 誰もがさらに謎を深めるばかりだった、その言葉に。
 しかし彼等は真相は語らなかった、だが彼等のうちでごく限られたクーデターを主導し今は政府の領袖となっている者達は。
 彼等だけで集まった時にだ、こう言ったのだった。
「開発者達も全て死んでもらった」
「この場合は仕方ないな」
「資料は全て消した」
「もう不老不死の薬は消え去った」
 それは完全にだというのだ。
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