第二章
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「大変だぞ、それは」
「あいつが永遠にこの国に君臨すれば地獄だ」
「今で既に地獄なのに地獄が永遠に続くのか」
「そんなことがあってたまるか」
「しかし薬を開発しなければ死刑だ」
「本人だけじゃなく一族全員が処刑だ」
この国ではそうなる、一人が罪を犯せばその罪は一族に及ぶのだ。
特に反乱とみなされればそうなる、尚反乱罪の類がこの国の犯罪の半数以上を占めているのが現実だ。
だから誰も逆らえなかった、ナベツネスキーだけが贅を極め豪奢で巨大な宮殿に住んでいる、国民は粗末な今にも崩れそうな集合住宅の中で長時間の労働と飢餓で次次に倒れていっていた。
その中薬が出来た、その不老不死の薬がだ。
幾度かの生体実験の後でだ、それはナベツネスキーの前に持って来られた。
コップの中の黒い液体を見てだ、ナベツネスキーは開発した学者達に言った。
「これを飲めばだな」
「はい、偉大なる将軍様は永遠に生きられます」
「そうなります」
学者達もこう答える。
「そして我々と共にいてくれます」
「例え何があろうとも」
「そうか、遂に俺は不老不死になるんだな」
ナベツネスキーはその薬を前にしてにやりと笑った。
「それはもう確かなんだな」
「はい、死刑囚を実験に使いました」
「何人にも使い確かめました」
だから確かだというのだ。
「何をしても死ななくなりました」
「そうなりました」
「そうか、それでその死刑囚共はどうしたんだ?」
不老不死になった彼等のことが聞かれた。
「そのままだとまずいだろ」
「はい、体を八つ裂きにして土の下に埋めました」
「何も出来ない様にしました」
「腕も身体も動きますが細切れの様にしてコンクリートに入れていますので」
「何の心配もいりません」
「だといいがな、そうかじゃあ今からな」
その薬を見ながらだ、ナベツネスキーは舌舐めずりをした。
それからだ、こう言ったのだった。
「飲むからな」
「是非お飲み下さい」
「そして我々を愛し続けて下さい」
「俺がいないと御前達は何も出来ないからな」
ナベツネスキーは心からそう思っていた、そうして。
彼はその薬を飲んだ、そして実際にだった。
彼は何をしても死ななくなった、試しに猛毒を飲んでも何ともなく身体が疲れることもなかった。
それでこれまで以上に贅沢に勤しんだ、それでだった。
国は更に悪くなった、だが。
これでだ、国内の心ある者達はさらに危惧を覚えたのだった。
「このままだとな」
「ああ、本当にまずいぞ」
「あいつが不老不死になるなんてな」
「このままじゃこの国は永遠に地獄だぞ」
「どうすればいいんだ」
こう話してだ、そしてだった。
彼等は遂に意を決した、そして。
心ある者達が集まり
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