第114話
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齢はおそらく二〇代前半。
髪は黒色で、腰まで伸びていて、一つに束ねてある。
蒼いコートを羽織り、独特の紋章が二つ書かれてある。
茶色のジーンズを履いており、紋章を除けばどこにでも居そうな女性である。
本当に突然だった。
眼を放したのではなく、突然現れたのだ。
麻生はそれを見て驚きの表情を隠せないでいた。
「誰だお前は。」
すぐに表情を元も戻し、誰かを聞く。
その言葉を聞いた女性が、今度は女性の方が驚いた顔をする。
「私の顔を見ても、誰だが分からないか。
なるほど、これは私が思っているより重症みたいね。」
ぶつぶつと何かを呟きながら、一人で納得する。
それを見た麻生は少しだけ苛立ったような声で聞く。
「おい、一人で納得するな。
お前といい、あの猫といい何かを悟ったような顔をして。」
「猫?・・・・ああ、彼のこと。
あれに会っても何も分からないのね。
これは相当重症だわ。」
「だから、何の事だ!」
「貴方が力をほとんど使えないのも納得したわ。
となると、彼らに動いてもらうのが少し早くなりそうね。」
一人で何かを呟いている。
完全に麻生の事は蚊帳の外だ。
女性は麻生がじっと見つめている事にようやく気がつくとこう言った。
「貴方が疑問に思っている事を教えてあげる。
まず、貴方は死んでいない。」
「何を言っている。
俺は確かに海の中で溺死したはずだ。」
「あのままならね。
死ぬ所を私が助けたの。
本来なら星が助ける所なんだけど、今は全く機能していないからね。」
また麻生の疑問が増えた。
それを気にするの事なく女性は話を続ける。
「まぁそういうこと。
もうじき貴方は目を覚ます筈よ。
今の貴方は精神だけの存在だからね。
もうじき、肉体の方が目を覚ます筈よ。」
すると、麻生の足元に光り始める。
足元から徐々に光の粒子となって消えていく。
麻生の身体が完全に消える前に女性はこう言った。
「そう遠くない未来、もう一度私と出会う筈だから。
その時までに、その力の扱いをもう少し扱えるようになっておきなさい。」
右目をウィンクさせて女性は言う。
その言葉を最後に麻生の身体は完全に消えていった。
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