マザーズ・ロザリオ編
挿話集
ダンジョン・デートA
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仮想世界。数年前から騒がれている桃源郷のような世界の事は知っていた。
彼が半年程前から入り浸って…………いや、仕切っている集団でも似たような研究はしていた。
まあ、作ろうとしているのは巷で騒がれている桃源郷ではなく純粋な『実用目的』のためだけに製作しているためそこに遊び心など皆無だ―――携わっている変人達の態度や素行は別の話としてだが。
時おり奇声を上げながら凄まじいスピードでパーツを組み上げていくのは複数の意味で恐ろしい。そんな中、俺が何をしているのかと言えば……
「……こんなもんか」
「ま、技術的な彼是を除けばの話だがな」
笠原達也。日本に3人、アメリカに1人、行方不明1人で構成される日本最高の天才集団《五賢人》の1人。集団と言っても連携している訳ではなく各々が好きにやっているだけなのだが。
「それはそうと隊長さん」
「……何だ?」
「お家から通達が。明日、株式会社アーガス・本社ビルに行くように、と」
「……他には?」
「無しです。それと、総帥から俺が同行するように言われているのでお供します」
「分かった」
命令だけで肝心の中身が無い。面倒事か、もしくは実家が関心の無い事なのか。
(どうでも良いがな)
契約上断る事は出来ない。今は従うのみだ。
「―――ようこそ水城螢君。そして、久しぶりだね笠原君」
「……テメェかよ、ったく。総帥も人が悪い」
今の世の中、アーガス第三開発部長『茅場晶彦』の名を知らない者はモグリだ。ほんの数年前まで弱小三流メーカーだったアーガスを世界有数のトップメーカーに押し上げた天才。
その功績から《五賢人》に認定され、奇特な彼らの中でもかなり奇特な行動―――ゲーム開発に勤しんでいる。
「武田先生はご壮健かな?久しく音沙汰が無いのでどうしたかと……」
「フン。今や俺等のボスだよ。元教え子とは言え迂闊に連絡を取れんのだろ」
「そうか。では宜しくお伝えしてくれ。……すまない、水城君。本題に入ろうか」
俺としては相関図に新たな人物を加えていく作業は楽しくもあるので別に構わなかったのだが、向こうは一応依頼主なので逆らう理由は無い。
幾重もの厳重なセキュリティを抜け、たどり着いた先には無数の映像パネルや観測機器、コンソール等が設置された厳つい空間が拡がっていた。
「君にやってもらいたのは現在開発中のVRMMORPG、《ソードアート・オンライン》で使用する《ソードスキル》という、言わば《剣技》を作って貰う事だ」
「……それはいいが。何故俺を?不愉快な言い方だろうが、たかがゲームだろう?見栄えのいい動きぐらいなら素人でも作れるはずだ」
「……私はそれを実戦的なものにしたいのだ
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