第七十三話 狂いだす歯車
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ようやくここまで来れたよ」
入港し、議長の所までクラウが案内してきたシン、アスラン、レイ、ハイネの四人がやって来る。ルナマリアやショーンはフェイスではない為ここに来ておらず、マーレやルドルフ、アレックはラー・カイラムの方が所属である為、こちらに来てはいない。
「本当に感謝しているよ。考えてみれば、君たちはアーモリーワンでの強奪事件からユニウスセブン、ロゴスとの戦い、随分と大変な思いをさせてしまったからね。
だが、そんな世界ももう終わる。後ほんの少しでね……」
デスティニープランが始動すれば戦争が終わる。議長は労いの言葉と共に四人に対してそう言葉を掛ける。
「議長……しかし、デスティニープランによって、人は本当に争いを止めるでしょうか?」
ハイネは率直な意見として議長に直接問いかける。この戦争が終わるのは間違いないかもしれない。だが、それで未来永劫の戦争まで終わるというのか?ハイネにとっても、また問いかけてはいないもののアスランにとっても疑問だった。
「君たちの懸念は尤もな話だ。しかし、では事実としてこれならば確実に争いを止めることが出来るという名案を他の誰かが出せるかね?それを多数が支持し、私自身も納得できる意見だというのなら私もその提案を受け入れよう」
そう、結局は戦争が終わるか否かの質問など無意味なのだ。世界の未来など、ましてや人類の行きつく末など見えようはずもない。一寸先は闇でしかない。
「ですが、戦争を終わらせたその世界で果たして本当の幸せというものを得られるのですか?」
アスランもまた、自身が疑念に思っていたことを口にする。
「そもそも、議長なら分かっている筈です。こうも急進的な革命を起こせば、世界が混乱する事ぐらい。少しずつ変えていく事も出来たはずでは!」
「本当にそう思っているのかね?」
議長は笑みを絶やすことなく、問いかけてきたアスランに対して逆に問いかける。その微動だにしない様子にアスランは思わずたじろいだ。
「確かに、君の言う通り穏便に事を進めることも出来ただろう。だが、大衆は変化を嫌う――――仮に穏便に事を行ったとしても、いつかは争わねばらない。そして、それはまた大きな波乱を剥き出しにする。君とて旧世紀に起こった冷戦の経緯を知らないわけではないだろう?」
何事も中途半端を招くような選択は良くない。議長からしてみれば最終的な被害を考慮して今争うという選択を取ったのだ。そして、アスランはそれを許容しきれていない。政治家と軍人故に起こる視点の違い。
アスランの考えは近視眼的であり、また議長の考え方は皮算用が過ぎる。どちらが正しいというわけではないが、その差異がみせる最終的な意見の相違は大きい。
「それぞれが、各々の役割を与えられて、有効的にその力を使
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