十八話
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の言う通り、力比べになっただろう。だが、今回は違う。
突き進む居合い拳に、皆が健二の一投は飲み込まれたと思っただろう。だが、それは違う。健二の放った一投は飲み込まれてなどいない。今も、”居合い拳の中”を突き進んでいる。だが、このままではタカミチまで届かない。だが、健二の手にはもう一つ武器がある!
「お、おああぁああぁあああああ!!」
残されて短棍。それになけなしの魔力全てを詰め込んで、投擲する。短棍は先を行く長棍の軌跡を辿り、そして追いつく。短棍は長棍の柄尻を押し、長棍は居合い拳を突き抜けた。
「な、に!?」
豪殺居合い拳から飛び出してきた棍をタカミチは思わず凝視してしまう。いくらなんでも、豪殺居合い拳のど真ん中をぶち抜いてくるなど思いもしなかったのだろう。だが、突き抜けてくる間に大きく勢いを削がれたらしく、投擲当初とは比較にならないほどスピードは落ちている。これならば豪殺居合い拳で迎撃するまでもない、と。タカミチはポケットから右手を出し、棍を払い落した。……が、それが不味かった。
不意に感じる気配。それは自分の右側。棍の迎撃に右手を使ってしまった今、最も対処しにくい場所にあった。
「う、っらあああぁああああ!」
「うおおおぉおおお!」
既に健二に武器は無い。あるのは拳のみ。前身は既にがたがた、直ぐに倒れてしまいたい。だが、これが本当に最後の一撃だと……健二は残された力全てを右拳に乗せて、放った。
「ダウン! ダウンですっ! ”宮内選手”、ダウーンッ!」
タイミングは完全に健二のものだった。タカミチも、最後の瞬間はしてやられたと本気で思った。だが、倒れたのは健二だった。魔力の枯渇……健二は先の投擲で魔力が底をついていたのだ。タイミングが健二のものでも、生身と咸卦法を使っているタカミチではスピードの差は歴然。健二の拳は届かず、タカミチの拳が健二に突き刺さったのだ。
「9! 10! 試合終了! 第五試合の勝者は、タカミチ・T・高畑選手です!」
これを持って、健二の麻帆良武道会は終わりを告げた。
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