十八話
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もの、ずっと疑問に思っていることがあった。それは、何故健二は魔法を使わないのかということだ。そう、今の健二は魔力による身体強化すら行っていないまっさらな状態なのだ。いくらなんでも、これでは居合い拳を放つために身体強化を施しているタカミチに敵うはずがない。
「何を考えているのかは知らないが、何時までもそのままでいられるとさすがにいらつくよ」
「何を考えている、ねぇ」
タカミチは生まれつき呪文詠唱が行えないと言うハンデを背負っていた。今でこそ数多の魔法使いから尊敬されるほどの戦闘力を保持しているが、かつては間違いなく弱者であった。その身一つでしか闘う術の無かったタカミチにとって、戦いの全ては格上との戦いでありその全てに全力だった。今の状況は誰が見ても間違いなくタカミチが強者で健二が弱者だ。弱者であり、挑むという立場の筈の健二が全力では無い事にタカミチは僅かながらに怒りを抱いていたのだ。
「そのままでいるというなら、別にいい。その代わり、今度は一切の手加減無く意識を奪わせてもらうよ」
タカミチの声音からそれが本気であることが分かった。このままの状況を続けていれば、健二は間違いなく倒される。一瞬で、気付く間もなく。だが、丁度良かった。ここまでの戦いで、健二は知りたかった事を知ることができた。もう、このままでいる必要は無い。
「俺の無礼な行いにここまで付き合ってくれたことに感謝する。詫びになるかは分からんが」
――――戦いの歌!
「俺の全力で」
――――アデアット!
「相手をさせてもらう!」
健二の体を魔力が包み、アーティファクトが力をもたらす。これで万全。先ほどまでのは戦いですらない。ただ、健二があることを確かめるために行っていた実地試験だ。本当の戦いは、ここから始まる。
「場が動くな」
「そうでござるな」
周りに人が全くいない特等席。ネギや明日菜、刹那や楓達と言った選手組は本選に出場したもの達の特権として、そこで周りに気を配ることなく観戦をしていた。
「健二の奴、何でいままで……」
健二が魔法を使っていなかった事は勿論彼女達も気づいていた。特に明日菜等健二が攻撃を受けるたびに身を振わせ気が気でなかっただろう。試合前にどっちを応援するべきか悩んでいたとは思えないほどの傾倒ぶりだ。
「…………」
そんな中、エヴァンジェリンだけが黙って試合の行く末を見守っていた。先ほどのまでの行為、健二が何かを試していることなど早々に悟ったが、腑に落ちないこともあった。学園祭前、エヴァンジェリンは健二の修行に付き合っていた。それが、誰かと戦うためのものであると、エヴァンジェリンは分かっていたわけなのだがその相手が問題だった。
昨日予選が終わった後に明日菜達はエヴァンジェ
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