十八話
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いた。なのにこれだ。幸い予選で倒れていたもの達の様に顎先に貰わなかったため何ともないが、タカミチがその気なら先ほどの一撃でやられていただろう。だが、だからこそ……それほどまでに察知できないからこそ。
(丁度いい!)
健二は背が地につくまえに手をつき、片手でバク転を行い。体勢を立て直す。しかし、体勢を立て直した直後に再び健二の顔を見えない拳が穿つ。先とは違い顎は一応カバーを行っていたため大丈夫だったがこのままでは不味い。居合い拳一発一発は今の所耐えられる威力だが何発も貰えばダメージは溜まるし腫れたりもするだろう。何より、一方的に攻撃され何も出来ないという状況が健二の精神を削り取っていく。
「ああーっと! 高畑選手の正体不明の攻撃が宮内選手の顔にクリーンヒット! 宮内選手、成す術もありません!」
試合を盛り上げるための実況も、タカミチの居合い拳を開設するリーゼントの声も今の健二には全く耳に入らない。目の前の男を倒す術を必死に考える。飛んでくる拳圧を見極める術を得ようと。
「ガラ空きだよ」
「くっそ!」
こちらから攻めいれば居合い拳によるカウンターの餌食。故に健二は一発で倒れる可能性のある顎を守り、様子見に徹していた。だが、その程度の事がタカミチにとって障害には成りえない。およそ10発近くの居合い拳が健二の腹部に叩き込まれる。
タカミチにとって予想外だったのは腹部に放った居合い拳の効き目が薄かった事だ。撃った場所にはみぞおちもあったのに、だ。対して運が良かったのは健二だ。強化の魔術。これを健二は身につけている装備、赤原礼装に施していた。それにより健二の装備は衝撃吸収率等が格段に上がっていたのだ。
「…………」
「はあ、はあ……」
居合い拳に撃たれ続ける健二と無言で撃ち続けるタカミチ。タカミチはこれまで生徒の暴走等を数多く制圧してきた。中には強く反抗してくる生徒達もいたが、タカミチはそれを圧倒的な実力差で容易く無力化していた。それこそ、予選会の時の様に、だ。だが、今はどうだ。タカミチが手加減しているということもあるとはいえ時間にしておよそ5分の間、健二はタカミチの攻撃をその身で受け続けた。これまで、タカミチにここまで食い下がれた生徒はいない。タカミチと対峙した事のある生徒達には賞賛されることかもしれない。だが、戦況がそれを許さなかった。攻めることもできず、守ることもできずただ攻撃を受けるだけ。圧倒的な差……それこそ戦いに関してズブの素人でも分かるそれ。だが、にも関わらず試合は終わっていない。これではまるで、強者が弱者をジワジワといたぶっているようではないか。観客の大部分がそう思っているのか、大衆には既に声が無い。
「君は、何がしたいんだい?」
「何?」
タカミチは試合が始まってからと言う
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ