第十二話 〜わたしの帰る場所 -Home-【暁 Ver】
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──────── その日、わたしの帰る場所がなくなった
両親の事も憶えていないし、あまり楽しい思い出もなかったけれど。そこには確かに、わたしの居場所がありました。わたしの『力』は強すぎるらしい。強すぎる力は災禍と破壊しか生まない、と。こうしてわたしは帰る場所がなくなり……一人になった。
「確かに珍しい特殊技能ではありますし、強力ではあるんですがねぇ。如何せん、制御が出来ないんですわ。使い道としては殲滅戦に放り込むしか」
「お名前は?」
その日。わたしを迎えに来たと言った綺麗な女の人は、綺麗な声で男の人の言葉を遮るようにわたしに話しかけました。わたしに目線を合わせるようにして。
……知ってますよね?
「うん、確かに私はあなたの名前を知ってるけど、直接聞きたいな」
……キャロ・ル・ルシエです。
「可愛い名前だね。私はフェイト。フェイト・T・ハラオウン。さ、行こっか」
「ま、待ってください」
男の人が綺麗な女の人……フェイトさんを呼び止める。男の人へ向けたフェイトさんの瞳は、雪のように冷たかった。
「何か?」
「何かって……私の話を聞いていましたか?」
「……あなたの方こそ、私が今日訪れた目的を聞いていませんか? 私は、彼女を引き取りに来たんです。何か問題が?」
「い、いえ」
「行こう? 『キャロ』」
わたしを迎えに来た綺麗な女性……フェイトさんはそう言って、男の人に向けていた顔とは別人のように、わたしに笑いかけました。なぜかは、わからないけど──── 涙が溢れそうになりました。
強すぎる力。人を傷つける力。もし上手く出来なかったら……また居場所がなくなってしまう。今度は何処に行けば良いんだろう。とても、後ろ向き。わたしの悪い癖だ。わたしがこんなことじゃいけないと、頭を振ろうとしたとき。ヴァイスさんの緊張した声が、空気を揺らした。
「なのはさんっ、六課から通信。航空型のガジェットが、こちらへ向かってるそうだ。数は……二十機前後!」
「フェイトちゃん来てる?」
『来てるよ』
「了解。わたしとフェイトちゃんで、空は抑えるからヴァイス君、ハッチ開けてくれる?」
ヘリ後部のハッチが、ゆっくりと開けられ冷たい風が舞い込んでくる。
「それじゃ、ちょっと出て」
そこまでなのはさんが口にした時。ヴァイスさんが慌てたように声を上げた。
「後方から凄いスピードで、一機ヘリに向かって接近してくるっ」
わたしの小さな心臟が、意思とは関係なく跳ね上がる──── 怖い。
「何が近づいてるのっ」
「……識別コード未確認、通信での反応無し」
「すぐに出るから」
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