第四章
女教師曰く、彼は叶わない理想を抱くロマンチストである。
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なに勝手に見放してんだ。……痛いって言ってるだろ。……本当に僕の言葉は届かないんですか?
いや、それ、も、痛い……フリなのかな?真似?迷い?世迷い言?僕のこころは痛んではいないのかい?
……てゆーか《こころ》ってなあに?
――それは感じないもの。
思い出ってなあに?――それは暗い部屋のこと。
友達ってなあに?――思ってたもの。そして違っていたもの。思い込んでいたもの。
友情ってなあに?――それは、手に入らなかったもの。
意味も何もない自問自答は終わらない。
人ってなあに?――……。
愛ってなあに?――……。
親ってなあに?――……。
嬉しいって、なに?……。
悲しい、ってなに?……。
俺って何方?
僕って何者?
《桐山 霧夜?……知らないな》――知らないね。そうだね。勝手に上がって、ゴメンね。
もう、来ないよ。少なくとも、あなた達の意識の目の前には……。
《お父さん》――。
《お母さん》――。
帰れとか、気持ち悪いとか、寄るなとか、気違いとか、誰だとか、何だとか。そんなこと言わないでよ。
どうして思い出せないの?なんでそんな困った顔をするの?ヤメテヨ……。ソンナ顔。
ボクは、ボクハ――アナタタチノコトヲズットタイセツニオモッテイタヨ……?
ワスレタ?許さねえぞ。全員、全員、……全員、――ああ、もうどうだっていいや。
ぶん殴らなくていいや。絞め殺さなくていいや。踏みつけなくてもいいや。軽蔑しなくていいや。
何もしなくていいや。僕の知らないところでどうとでもなってくれたまえ。
《人間》
《愛》
《感情》……について。
回答を準備してみた。
……それらはね。俺がね、僕がね、この桐山霧夜って名前の名前がね、なり損ねた、もの。
得られなかったもの。感じ損ねたもの。どれもこれも欲しかったけど、無理なもの。
やはり手が届かないもの。
昔はもっと近くにあったような気がするけれど、もう遅い。
手遅れだし手の施しようもないだろう。嗚呼、今日も落ちぶれる。堕ちていく、深く、深く……。
今の生き方に飽きていて、今の生活に死んでいる。
けれども他の生き方は認められなくて、認めるもなくも意味などなくて。不幸も悲しくなくて。それ以前に生活が平坦で。平坦も平坦で。幸せは過去で、実はそれは偽物で。呆気に取られる間もなく府抜けて。しかし、それは仕方なく。僕はダメで、ダメもなくて、善悪が分からなくなって、人を忘れて、命に冷めて、死にたくなれなくて、考えられなくて、死ぬだけ無駄で、僕の前にはマイナスはやはり無価値で、プラスは無意味だ。
けれどもそれは言わば《概念》のお話、現実は違うと思いました。
だ
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