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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第四章
女教師曰く、彼は叶わない理想を抱くロマンチストである。
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っさいは過ぎていきます……か。私も太宰ほど生きてはいないが、太宰が言いたい事と君の言ってる事は少し違う気がするな。……と言うか、その小説に明確な《メッセージ》を求めている時点で、それは限りなくズレているのかも知れないがね。その点、君はロマンチストだ。あらゆる行為に、価値を見出だしたがる」

 小説にしろ何にしろ、《伝えたいもの》が《言葉》や《文字》だとは限らない。《色》かも知れないし《形》かも知れない。もしかしたら実に《概念》的な曖昧な存在なのかも知れない。かといって何かが在るとも限らない。……と、平塚先生は付け足した。実に……国語教師らしからぬ発言である。
 その《なにか》が無くて堪るものか。そんなのでは、みんなみんな僕と同じではないか。
 じゃあ、努力していた自分とは何なのだろう。意味などない?価値などない?
 ふざけないでくれ。なら悲しんだ自分も、酷く不格好で滑稽なのか?
 意味がないなら書かなければ良いのに。
 価値がないなら書かなければ良いのに。
 生きる意味がないなら、死ねば良いのに。死ねれば良いのに。死ねないのはどうしてだろう。少なくとも、それが小説を書く理由であってほしくない。……これが、惰性なのか。
 つーか流れるかの如きナチュラリズムで心読んでんじゃねえよ。スルーしかけた手前びっくりしたじゃねえか。

「まあ、ただの雑談だよ。気にしなくていい」
「どうしてくれるんですか。めちゃくちゃ気になりましたよ」
「ただ我々が未熟なのか何故なのか。人の心を理解するのは、非常に難しい。だから本の内容だって、物語としか取れない人間も大勢いる。メッセージ性など取って付けただけだと思ってしまう人間もいるさ。……ふん。そう言う点では、君はリアリストなのかも知れないね」
 平塚先生は俺に構わずベラベラと続けた。それよりこの人、こんな饒舌な人だったかしら。――と、まで考え、そんなことを言えるほど自分は他人を知らないのだと気づいた。
「えーと、結局どっちなんですかね?」
 俺はリアリストなの?それともロマンチストなの?
 正直、――どうでもいいが。
 言いたいことは言うほどない。早く、終わりにしたい。早く、結末を寄越せ。早く終わりをくれ。僕を納得させてくれ。
 幸せでもなくていい。不幸であっても無くてもいい。限りない幸福でも、果てしない不幸でも、僕は拒絶しない。ですから神様……僕に、終わりをください。
 エンディング、は、何処ですか?
 いつ終わりますか?何も考えてたくありません?僕は死にますか?僕の隣に誰かいますか?……仮定は要らない。結論をくれ。――過程は要らない。結末をくれ。 
 死になど興味もない。堕落などエゴだ。……一心不乱の、終わりを寄越せ。
 堕落なんてカッコつけた言葉には飽き飽きだぜ。
「リアリストとは
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