暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.05
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 そこにはそんなありふれた謳い文句と共に、奇妙な魔方陣の描かれていた。
 ……そういえば、たしかに俺はあのチラシを見た覚えがある。
 デートの待ち合わせ中、チラシ配りのお姉さんから受け取って、そのままポケットの中に入れたもの。
 それと全く同じチラシが今、俺の目の前、リアス先輩の手の中に。

「これは私たちが配っているチラシで、いわゆる召喚術の魔方陣なのよ」
「召喚術……って、なんでそんな、チラシなんかで」
「それが、最近は自分で魔方陣を用意してまで悪魔を招く人間もいなくて。
 仕方ないから、こうして悪魔を召喚しそうな人間に魔方陣を配っているのよ」

 ため息混じりにリアス先輩がそう言う。
 悪魔にもいろいろ事情があるらしい。

「……まぁ、それはそれとして。
 堕天使に襲われて瀕死の重傷を負ったあなたは、これを使って私を呼んだ……ってわけ。
 もっとも、普段なら眷属の朱乃たちの中から誰かが呼ばれていたはずなんだけど。
 この私を呼び出すだなんて、よほど願いが強かったのでしょうね」

 死の間際。 血の色。 鮮やかな紅。
 たしかに俺は思い浮かべた、手を染め上げた色彩に連想したのだ。
 紅い髪の少女―――リアス・グレモリーを。

「そうして召喚された私はあなたを見て、すぐに事情を察したわ。
 あなたが神器所有者で堕天使に襲われたのだと。 ……問題はここからよ」

 ピッ、と。 鼻先に右手、人差し指を突き付けられる。
 問題。 問題とはなんだろうか?
 しかし考える暇もなく、リアス先輩は即座に答えを開示する。

「イッセー……あなたは死ぬ寸前だった。
 堕天使の光、あれは悪魔にとってはもちろんだけど、人間にとっても十分に脅威足りえるわ。
 はっきり言えば、ほぼ即死。 私が呼ばれたときにはもう既に、あなたも大体そんな感じだったのよ」

 まあ、それはそうだろう。
 あれで死なないとくれば、それはもう人間じゃない何かだ。

「そこで私はとある方法であなたを救うことを選んだのよ―――悪魔としてね」

 解けた右手、柔らかな感触が頬を伝う。
 ふと気付けば、リアス先輩の手のひらが俺の頬をそっと撫でていた。
 慈しむように手で触れて、俺の目を見てリアス先輩は言った。

「イッセー。 あなたは私の……リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったわ。
 いわゆる転生……私のかわいい下僕として、ね」

 頬に触れる手。
 リアス先輩の右手から不可思議な熱が伝わる―――瞬間。
 ―――バッ!! 翻る音と共に、何かが俺の背から広がった。
 奇妙な感覚。 腕が突如に増えたみたいな、足が突如に増えたみたいな。
 背後を覗く。 そこにあったのは先輩たちが持つものと同じ、コウモリを思わせる一
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