暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.05
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腰を上げ、その場にすっと立ち上がる。

「では、これが最後よイッセー。 今、あなたが想像したものを真似してちょうだい」
「……え?」

 ……今、なんと?
 聞き間違えでないのなら、ドラゴン波のモノマネをしてみせろと言ったように聞こえたのですけど……。
 いや。 いやいや。 いやいやいやいや。
 え?冗談ですよね? え?本気ですか?

「あの、それって悪魔流の冗談……だったりします?」
「いいえ、まさか。 この場でそんな冗談を言うほど悪趣味じゃないわよ、私は」

 そういうリアス先輩の瞳には、俺をからかって遊んでいるといった様子は見られない。
 なるほど。 ならば、この場でモノマネをしてみせるというのは必要なことなのだろう。
 けど。 けどね。 ですけどね―――。
 ―――俺、その手の遊びはもうとっくの昔に卒業しましたよっ!?
 沸々と湧き上がる羞恥、葛藤。 同じ学校に通う学友の見守る前でのドラゴン波……。
 いや、それはちょっと。 いや、かなり。 恥ずかしい。 恥ずかしいぞ。
 いやいやいやいや、恥ずかしすぎるでしょ!? さすがにそれはっ!?

「ほら、早くなさいな。 なにも難しいことはないでしょう?」

 唐突に湧いた羞恥、困惑する俺をリアス先輩は再び急かす。
 声音はまさに真剣そのもので、ほんの一片の冗談もそこには感じられなかった。
 ……やる? やるの? 本当にやらなきゃなの? え、マジで?
 まさか、この歳になって人前でドラゴン波を披露するはめになるだなんて……。

「……どうしても、やらなきゃダメですか?」
「ええ、もちろん」
「……笑いませんか?」
「笑わないわ」
「……絶対に笑いませんよね?」
「笑わないわよ」
「…………絶ッッッッッ対に、笑ったりしませんよね? よね? しませんね?」
「いい加減しつこいわね。 いいから早く、さっさと済ませてしまいなさい」

 繰り返し確認、念押しする俺にいよいよリアス先輩が痺れを切らす。
 ここまできて“じゃあ、やめましょう”という選択肢は端からリアス先輩には無いようで。
 早くと、そう言われた俺には拒否をするという選択肢は選べなかった。
 ……こうなったら仕方がない。
 胸の奥にくすぶる羞恥を掻き消すように、俺は半ば強引にテンションを引き上げる。
 やってやる!! やってやるぞ!! 壮大な決意を掲げるように闘志の熱が胸に滾る。
 そうだ、逆に考えるんだイッセー!! 見せつけてやればいいと考えるんだ!!
 しょぼいモノマネなんかじゃない、最高にかっこいいドラゴン波を見せてやるぞっ!!

「ド・ラ・ゴ・ン―――波あぁぁぁぁッ!!」

 剥き出しの牙の如く開かれた左右の掌。
 上下逆に合わせたそれを俺は力強く前に
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