マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
―《剣帝》―
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6月。
『えー、こちらの紺野木綿季さんは皆さんと少し異なる事情で入院生活をしていました。そして退院につきまして、特例により本校に編入致します。皆さん、仲良くしてあげて下さ……「みんな、よろしくー!!」』
待ちきれなかったのか、校長の紹介を遮って木綿季が元気に手を振る。肉付きが戻ってきた木綿季はまだ痩せ型だが、紛うこと無き美少女。
そしてどこか庇護欲をそそる雰囲気をまとっている。必然、男女問わず歓声が上がった。
全校生徒数百人、一同が体育館に集まったとしても手狭ではない。進行を生徒に任せた校長がステージを降りると、質問コーナーが始まった。
とは言ってもほぼ全員が元はネットゲーマー。内容は当たり障りの無いベーシックなもの。―――が、それが災いすることもある。
そしてついにソレが飛び出した。
最前列近くの男子生徒数名がざわつき、やがて1人が手を挙げて訊ねる。
「彼氏はいますか!?」
瞬間、俺は
「ゴフッ!?」
吹いた。最後方で松葉杖を突いて立っていた俺はよろけさえした。これはかなりマズイ。色んな意味で。
「え……カレシ、ですか?」
木綿季も顔を赤らめ、困った様子でいる。
そしてあろうことか俺にチラチラと視線を向けてくる。
「おい、バカッ……!?」
仮にも全員が元SAOプレイヤー。視線を追う事には熟達している者が殆どだ。
生憎こっちは松葉杖。今からそのサーチを逃れる事は出来ない。
三々五々振り向いた生徒達が俺を見、木綿季を見、また俺を見る。―――南無三。
『『『何だとぉぉぉぉぉっ!?』』』
「はぁ……やれやれ」
松葉杖を前に出し、ゆっくりと進んでいく。その先の人だかりはモーゼが紅海を割るが如く割れていく。にやにや笑っているあのバカップル×3+4人は後でオシオキしておこう。
ご指名があったからには全校生徒に宣言しても良いだろう。
そして、後で彼女に伝えよう。俺の気持ちを、もう一度。
マザーズ・ロザリオ編―完―
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