マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
―《剣帝》―
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「桜はおめぇの奥さんだろうが!!……お前、それでも……」
「候補だね。まだ籍は入れてな……!?」
清月が素早くその場から跳び退く。
数瞬前までは彼の首があった場所には蓮の手刀があった。
「死ね、外道」
「嫌だね。―――面倒だ。君にはここで死んで貰う」
怒りの光を両眼から迸らせる蓮に清月はあくまでも冷静に返す。
日本の中心で2体の魔神が動き出した。
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―京都府洛東の山中―
「ほほ、何時間やっとるんじゃい、ご当主殿」
「む。はな――いや、華宛院殿じゃないか。元気かね?」
「まあまあだの。んー?明月のやつが来てんのかい。貧乏クジ引いたの」
「……手を貸す気は……無さそうだの」
「当たり前だ馬鹿者。我等は『山東を追放、水城を迎える。両家の抗争に介入しない』で合意したしの。でなくとも儂の立場から介入するのはちとマズい」
山の谷を挟んで対峙する宗家と分家の両当主。互いに隙を見せないため、もう数時間に及ぶ睨み合いが続いていた。
そこに見物人のノリでやって来た老婆は珍しいものでも見るように辺りを見回していた。
「戦う気はないのかの?らしくない」
「ふ、今回は持久戦だ。やつらめ、そろそろ焦り出すぞ」
「ぬ?」
今の言い方からすると冬馬は何かを待っているようだ。だが、この膠着状態を動かす『何か』とは一体…………。
「まさか……あやつか?」
「は、は、は!」
心底愉快そうに笑う冬馬に向こうの明月は無表情のままだ。どうやらこの突発的な戦はすぐに終わるらしい。
(……だとすると、妙だのぉ?どれ、久々に世俗に戻ってみるかの……)
首都東京、文化都市京都、商業都市大阪……etcの日本中枢に山東が大小の規模で攻勢をかけるのをじりじりと退きながら防衛する水城。
その密かな戦は横浜にやって来たある人物によって終わりを告げた。
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ドサッ。
自分より二回りガタイのいい大男を下し、沙良は床に膝を突いた。
(脈を……)
首筋に血の気を失った指を当て、生存を確認。最後の力を振り絞って男を縛り上げると他の5人と離して放った。
「ぁ…………」
緊張の糸が切れ、仰向けに倒れる。
自分と同等以上の実力を持つ『殺人者』6人を全員無力化などという所業は無茶を通り越して無謀――というか奇跡だ。致死レベルの怪我こそ免れたものの、殺し切れなかった衝撃や防御を貫いた攻撃によって、内出血や骨折――事によると内臓に
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