第109話
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ると、自律防衛システムでも作動したのか、急に方向を変えて上条の方に向かってくる。
それを確認した上条は通路のを奥へと進んでいく。
上条の実力はそれほど高くはない。
勝てるのは一対一、一対二なら危うくて、一対三以上なら迷わず逃げる。
だが、それも普通の人間を相手にした時だ。
今回の相手は魔術でできた鎧だ。
右手で殴れば一撃で破壊する事ができる。
上条は逃げつつも、鎧を右手で迎撃していた。
「行き止まり!?」
通路を走っていた上条だったが、その先に道が続いておらず行き止まりになっていた。
後ろにはまだ二〇体ほどの鎧が追いかけている。
「うおお!!」
悠長に考えている余裕はなかった。
咄嗟に上条は右手で隣の氷の壁に触る。
氷の壁は立方体の形に砕け散る。
なりふり構わず、隣の部屋に飛び移る。
上条がその中へ飛び込むと、複数の鎧達が行き止まりに激突したのはほぼ同時だった。
凄まじい勢いと重さをつけて壁に向かった鎧達は、その衝撃で身体をバラバラに飛び散らせる。
上条はそれを確認するせず、まずは部屋を見回し、地形を把握した所でとうやく一息ついた。
劇場の二階席のような場所だった。
左右へ数十メートル単位で半透明の輝く座席が長く続いているのに対し、奥行きは数メートル程度。
意匠を凝らして手すりの近くまで行くと、階下が覗ける。
まるで華美なオペラハウスだが、遥か下にあったのは舞台や観覧席ではなく、扇状に並んだ多くの椅子と机だった。
テレビで見る議会に近い。
その時だった。
後ろでゴッ!!という轟音と共に上条の空けた大穴から氷の鎧が突っ込んできた。
「・・・・ッ!?」
これ以上は逃げられない。
上条は背後の手すりを意識し、それから拳を握る。
そして、上条の方から氷の鎧の懐へ跳ぶ。
対する、氷の鎧は同じ材質の大剣を水平に振るった。
「おおっ!!」
これに応じるように上条が右手で大剣を叩こうとした所で、氷の鎧の両足がひとりでに砕けた。
おそらく、先ほどの衝撃でひびが入っていたのだろう。
大剣の軌道はそれに呼応するように変化した。
水平に腹を狙う姿勢から、斜め下から上条の首を目掛けて突き上げるものに。
腹を守ろうとした右手から逃れるように。
(しま・・・・ッ!?)
上条の頬に浮かんだ冷や汗を、大剣の風圧が吹き飛ばす。
「うおおおおッ!!」
全力で身を屈めた。
髪のいくらかは大剣に接触する。
抵抗なく切断されたというよりも、頭皮を丸ごと引っ張られたような激痛が走った。
それでも避けた。
痛みを堪え、上条は身を屈める動きを殺さず、そのまま身を倒すように体重を乗せて右拳を振るう。
自ら足を折って後ろへ倒れつつある氷の鎧の胸板へ、床にぶつかる前に一撃を叩き
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