第十一話 〜空を駆ける【暁 Ver】
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
女が、典型的な例だと感じていた。
以前からはやてが疑問に思っていたこと。彼女は八歳か九歳の頃から修行を始めたと、はやては聞いていた。アスナは現在十五歳。シグナムと互角以上に戦える戦闘技術。そしてあのとんでもない威圧感。あんなものが高々、六年か七年かそこらの修練で身につくものなのだろうか?
はやての疑問は尤もであった。はやてはアスナがミッドチルダへ来てから既に二十年ほど経っていることを知らないのだから。アスナの身に施されていた成長を阻害する処置。一般的に『異能』と呼ばれる力は幼少期が一番強く、成長するに従い失われていくことが多い。それを防ぐ為の処置だったと桐生は推察している。それもある年齢を境に効果が切れ始め、常人と同じように成長を始めたのは幸いであった。
生きている年数だけで言えば、はやてよりもずっと年上なのだ。……とてもそうは見えないが。アスナは、はやての視線に気付くと自分が持っているクッキーと、はやての顔を交互に見つめる。
「……あげない」
「いらん。アスナちゃんが食べとるクッキーよりこっちの方がおいしいねんで」
「……ちょうだい」
「やらん。アスナちゃんは片手に持っとるやろ」
「……そんなけちんぼだから、はやては小さい」
「関係ないわ。これからぐんぐん伸びるで? タケノコも真っ青や。……なんや」
「……私は、六課にきてからまた1p伸びました」
「うそ、やろ」
カリムは先ほどから、はやてとアスナのやり取りを見て忍び笑いを零している。そんなカリムとアスナを見ながらはやては思う。疑問はあるが、些細なことだと。先行きが不安になるような情報ばかり耳に入ったが、今は彼女達の楽しそうな顔を見られたけで─── 十分だ。はやてはそう自分を納得させた。
「新デバイスですかっ」
スバルが新しいおもちゃを買って貰えることに喜ぶ、子供のような声を上げる。目の前には……あたし達の新しいデバイス。キャロとエリオのデバイスにも手を加えられているようだ。何故だろう? あれほど熱望していたデバイスだと言うのに、何となく複雑な気分だ。アンカーガンを亡くしたばかりだからだろうか。スバルのようにデバイスに感情移入するような質ではなかった筈なんだけど。
あたしは恐る恐る手を伸ばすと、カード型のそれを手に取る。『クロスミラージュ』と言うらしい。幻術魔法を使うあたしには、相応しい名前だ。スバルは早速、相棒と呼び始めている。リイン曹長やシャーリーさんの話しによると、あたし達の性格や特性に併せチューニングされた、文字通りのオーダーメイドの逸品だ。
魔道師の強さは決して、デバイスで決まるものではないけれど……少しだけア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ