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空を駆ける姫御子
第十一話 〜空を駆ける【暁 Ver】
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拭きながら考える。その騒動の殆どはアスナ絡みだった。ティアナがアスナを叱る。アスナは何処吹く風。スバルが止めに入るというのが、いつものパターンだった。

 彼女達たちの御陰で世界が変わった。世界に色が付いた。いつか感謝の言葉を伝えたいなどと恥ずかしい事を考えたりするが、伝えるのはもっと恥ずかしいので実現出来ないでいる。

 ライムグリーンの下着を身につけながら、またサイズを変えなければいけないと考えていると、ふと今日は朝から姿を見ていない彼女を思い出す──── あの娘、失礼なことしてないでしょうね。





「……だれだ」

 割と失礼真っ最中だった。はやてと共に豪華ではあるが嫌みの無い一室へ案内されたアスナは、部屋の主と思われる女性を認めると開口一番に問いかけた。はやての背中へ半ば隠れるようにして。ここまで案内してくれたシャッハに対しても警戒していた。アスナにしてみれば、はやてと一緒に来た理由をよくわかっていなかったので、護衛程度にしか考えておらず、こんな場所まで案内されるとは思ってもいなかったのだ。

「相変わらず人見知りやなぁ。危ない人やないよ。私の友達でとっても偉いんやで」

「……はやてよりもえらい?」

「そやで。管理局で言えば少将さんやからな」

 アスナは小首を傾げながら暫く考えていたが、

「……はやてがいつもお世話になっております」

 と、まるで会社員のような挨拶をした。この辺りは間違いなく桐生の影響だろう。カリムは口元に手をやりながらとても楽しそうに笑ってる。

「ごめんなさい、笑ってしまって。私ははやてのお友達だけど、別に偉くないのよ?」

「……なんで嘘ついた」

「嘘付いてへんよ。カリムは謙遜してるだけやで?」

「……三国志?」

「ん? ……それ『孫権』や。わかりにくいわ。なんや、その顔。カリム……笑うとらんで助けてや」

 彼女──── カリム・グラシアは本当に楽しそうに笑っていた。





 八神はやては内心で気怠げに息を吐いた。カリムから齎された情報は少なくとも、はやてを喜ばせるようなものではなかった。AMF。新型のガジェット。そして……レリック。決して楽観視出来るような状況ではないが、不思議と大丈夫なような気もしている。死線を共にした親友。自分の家族。そして……頼もしい新人達。特にあの()()。これは自分の感でしかないが、恐らくあの二人は─── 強い。データや魔道師ランク以上に。

 魔道師ランクは一つの目安に過ぎない。戦いで一番強いのはランクが高い人間ではなく……相手に()()と思わせることが出来る人間だと言う事を八神はやては今までの経験で学んでいたし、自分の隣で栗鼠のようにクッキーに齧り付いている少
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