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空を駆ける姫御子
第十一話 〜空を駆ける【暁 Ver】
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・》いった。

 ティアナが消えた。いや、消えたのはシルエットだ。シルエットが消えるのは良い。幻術の強度は基本的に高くない。……問題はシルエットが()()()()()()。間違いなく本物を。わたしは障壁で防いだのだから。……像は幻で攻撃は実体。これも訓練中には一度も見せたことはない。

 その時。多少なりとも混乱していた、わたしの隙を突くように小さな影が弾丸のようなスピードでわたしに迫る。間一髪で防ぐが……重い。大した突進力だ。わたしは小さな影……エリオに対処するべく意識を切り替えた。





 疲れたわ。(カード)を切ってしまったが、仕方ない。しかし、あっちは手を抜きまくってるというのにあたし達は多少なりとも見せてしまった。これが力の差か……まぁ、いいわ。派手に戦ったのは、この為なのだから。後は頑張りなさい、男の子。





「惜しかったね、エリオ」

 本当に惜しかった。エリオの攻撃は、わたしの障壁を抜いたけど、体までは届かなかった。そろそろ五分。可哀想だけどルールだからね。わたしが更に五分の延長を宣言しようとした時に、俯いていたエリオが顔を上げた。

「いえ、その必要はありません」

 エリオがそう言うと同時に、わたしの背中へ軽い衝撃。少しだけ前に蹌踉めきながら振り返れば、そこにいたのは、フリード。ここでわたしは全てを悟った。ティアナとスバルが普段見せたことのない戦い方をしたのも、エリオが正面からわたしへ突進してきたのも。全て、()()──── キャロを完全にわたしの意識の外へ追い出す為。

()()入れたら勝ち、ですよね」

 その通りだ。他の皆の攻撃は全て防御したし、デバイス以外を使ってはいけないとも言っていない。発案は恐らく……間違いなく、ティアナだろう。自分でも大人げないとは思うけど、悔しい。だけどそれ以上に、わたしの全身を喜びが包み込んでいた。

「うん、合格。頑張ったね」

 わたしがそう宣言するとティアナは大きく息を吐き、スバルとエリオは天へ拳を突き出す。本当に楽しみな新人達だ。実力で勝る相手と戦う場合は、逃げること。それを許さない状況であれば、相手の虚を突くこと。そして──── 皆で力を合わせること。

 わたしが今まで彼女達に教えてきたことを実践してくれた。後はティアナとスバル? さっきの戦闘で聞きたいことがあるから、ちょっと()()しようか。二人ともこの世の終わりみたいな顔をした理由がわからなかった。





『騎士カリム。騎士はやてが、御見えになりました。それと……』

「ええ。もう一人いるのよね? 大丈夫、六課の子よ。失礼のないように。それとお茶を用意してちょうだい。
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