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空を駆ける姫御子
第十一話 〜空を駆ける【暁 Ver】
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何かと絶えない男だ」

「手段を選ばない『正義』など最早正義とは呼ばないんですが。時として強引な手段を取ることも必要でしょう。ですがね、そうやって得られた平和の()()は必ず払うことになります。そして大抵の場合、そのつけを払うことになるのは、『彼女』達のように未来に生きている若者だというのに。愚かな事です」

『親の借金を子供が肩代わりするようなものか』

 あまりにも人間らしくも生々しい表現に桐生は苦笑する。桐生は火を付けたまま燻らせていた煙草を、口に咥えた。

『桐生がまともな事を言ったのは久しぶりのような気する』

「……あなたは最近凄い失礼ですよね? 育て方を間違えたでしょうか。さて、作業の続きを」

『待って欲しい。桐生と話していると本題からどんどん外れていくんだ。それは間違いなく桐生の所為だよ。君はそれを故意にしている節があるから始末が悪い』

 そう。ボブの言う通り、レジアス・ゲイズの名を出して話題を逸らし、適当にお茶を濁そうとしたのだった。日本人の大半がそうであるように桐生もまた、宗教組織やそれに属している人物に興味が持てなかったのである。

「アスナを八神さんが連れ出したんでしょう? 聖王教会へ。問題は無いと思いますよ。八神さんはあまり腹芸が得意だとも思いませんし、他意は無いと思います。何よりアスナはそんな方には決して心を許しませんからね」

 何の脈絡もなくアスナを聖王教会へ連れ出したことをボブは懸念したのだった。アスナの完全魔法無効化能力(Cancel Magic)を何かしらに利用されるのではと考えたのだ。だが、アスナは登録上『近代ベルカ式』の『騎士』で登録している魔導師だ。例えそれがデータ上だけのことであっても、事実であることには変わりない。その関係でアスナが聖王教会へ出入りしたとしても不思議なことではないと桐生は諭す。

 桐生は自らが作り上げた人格AIの過保護ぶりに呆れかえると同時に頼もしくも思ったのだった。





「はい、みんなお疲れ様。今日もよく頑張ったね。じゃ最後にちょっとだけ、()()()()?」

 いつもの早朝訓練終了後になのはさんが、あたし達新人組へそんなことを言い出した。制限時間は五分。あたし達四人がかりで、なのはさんに一撃入れることが出来れば勝利。入れられない場合は、更に五分延長。いずれにせよ、訓練後の疲労困憊な体には罰ゲームに他ならない。

 しかもタイミングが悪い。一番火力が大きいアスナは、八神部隊長と一緒に聖王教会に行っている。おまけにスバルのローラーブーツは、時々不安になるような音をさせていて、あたしのアンカーガンも耐久力が既にダンボール並みだ。後、三発……いや二発撃てるかどうか。

<ティア……>

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