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パンデミック
第三十話「半年後」
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ーーーレッド・イーグル作戦から半年後………



あれから、世界の勢力図に僅かながらに変化が訪れた。

エリア48に続き、エリア75、エリア50のレッドゾーン指定が解除。
防壁が撤去され、数年ぶりに陽の光を浴びる地域が増えた。

しかし、レッドゾーンの減少に比例して、兵士の数も減少した。
この半年の間に、約1000人もの兵士が亡くなった。
つまり、それほどの戦力を投じてようやく2つのレッドゾーンを無くせる、ということだ。
このままのペースでいけば、レッドゾーンの前にエクスカリバーが全滅してしまう。

危機感を募らせたエクスカリバー上層部は、大幅な戦力増強を計画した。


殲滅特化部隊"クラウソラス"の人数増加。

ヴェールマン主導の精鋭部隊"カラドボルグ"の結成。

新型兵器"ブリューナク"の開発。

そして、覚醒兵部隊の再編成。










戦力を整えたエクスカリバーは、新たな作戦「シルバー・レイン作戦」への準備を進めていた……………








ーーー【エクスカリバー本部・第2格納庫】


「無線機、足りてるか?」

「充分だ。足りてる」

「覚醒兵部隊は、いつ現場に来る?」

「作戦開始から5分後に、現場に入って大暴れする予定なんだと」

「燃料1200Lまだか?」

「集合の呼び掛けからもう10分経ってんだぞ!?遅ぇよ!」



作戦が始まる直前はいつもこんな感じだ。
無数に聞こえてくる、慌ただしい足音と会話。
ガチャガチャと鳴り続ける金属音に、いい加減うんざりしていた。

ソレンスは、内心イライラしながら準備をしている。
そんなソレンスの元に、オルテガが歩み寄ってきた。

「おう、ソレンス」

「ん?あぁ、お前か」

「なんでイライラしてんだ?」

「…………周りの音だよ。ガチャガチャガチャガチャうるさくて………こっちは少しでも心を
落ち着かせたい、っていうのに………こんなんじゃ、落ち着かない」

「まぁ、そう言うな。落ち着かないのは皆一緒だ」

オルテガは、ふとある方向を指指した。その方向にソレンスは目を向ける。
そこには、武器のケースにちょこんと座っているユニがいた。

レッド・イーグル作戦以降の作戦で、ユニは右肩を負傷していた。
ユニにとって、今回の"シルバー・レイン作戦"は、復帰してから初めての作戦だった。


「ユニ……大丈夫か?今回の作戦…………」

「あっ、ソレンス………うん。大丈夫…………ありがとう」

「………頼むから、無理だけはしないでくれ。これ以上、親友を失いたくない……」

「……………フィンのこと?」

「……………あぁ」


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