GGO編ーファントム・バレット編ー
60.死の正体
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それに合わせて動こうとする死銃(リューゲ)に迷いを一時的に振り切って漆黒の刃で空を切り裂く。
黒いプラズマが弾ける。奴はさっき俺が破壊したアサルトライフルで漆黒の刃を防いだ。この状況でのやつとの距離は五十センチ足らず。
すると強烈なまでの殺意を俺の神経を捉える。逃げようと後方に飛び退こうとするがその前にボロマントの中に差し込まれていた右手から火花が飛び散る。
火花から放たれた仮想の鉄の塊は、俺の体を貫く。血のような赤いライトエフェクトが空へと飛び散った。
(ーーキリト、シュウ!)
声に出せない絶叫と、トリガーを引こうとするがそれをぐっと堪える。
約七百メートル離れた戦場では、黒衣の光剣使いと暗剣使いは、身体中からダメージエフェクトの光を零しながら吹き飛ばされたところだ。キリトが戦ってる死銃の剣さばきは、剣以外の武器に触れたことのない私の眼からは凄まじいものだった。だが、それ以上にシュウが戦っている死銃の銃の使い方はおかしいといってもいいぐらい凄まじいものだった。幸い二人はDEADタグを抱えることなく砂漠にまだ立っている。
しかし二人の死銃は、亡霊のようにマントをなびかせながら間合いを詰めていく。自動制御の中継カメラが、決着を予感してか次々と数を増やす。
へカートのスコープさえ無事なら、狙撃で二人を支援できるのだが、この距離を肉眼では予測円を収束できない。闇雲に撃てば、最悪二人に当たってしまう。
(がんばれ。頑張って、キリト、シュウ)
現実の自分に迫る危険も忘れ、岩山の上で膝立ちになったまま、片手にへカートのトリガーを握り締めたまま念じる。
あの二人は、伝説のデスゲーム《ソードアート・オンライン》の中で、自分や他の誰かを守るためとはいえ人を殺した。その経験は、詩乃の背負った過去に驚くほどよく似ている。
キリトとシュウは今、自分の言葉を行動に変えようとしている。SAO世界の闇を引きずる死銃という名の犯罪者を、自分たちの手で止めようとしている。
それができるのは、あの二人が強いからではない。強くあろうとしているからだ。自分の弱さを受け入れ、悩み、苦しみ、しかしそれでもなお前を向こうとする人間だからだ。強さというのは多分ーー結果ではなく、何か目指そうとする過程そのものなのだ。
(今すぐ、あなたたちと話したい。私の気づいたこと、感じたものを、あなたたちに伝えたい)
何か、私にできることがまだなにかないか。岩山から降り、接近するのは逆効果だ。
黒星を向けられた瞬間、キリトは動けなくなる。といって、スコープなしでの狙撃はただのギャンブルだ。サイドアームのMP7では、射程がまったく足りない。他に.....他に何か、支援する手段がないのか.......
「........
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